ビーストレギオン
□The Reaper's eyes〜死神の眼に映るのは?〜
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水と緑が共存する街アトランティカ
大陸の西に位置し、セントリアから数十キロ離れているその場所は、海が近く島の中でも森林が多く残っている。
そしてアトランティカから少し離れたある村で、1人のボーイスカウトが訓練を終え帰路に就いていた。
「わ〜れら〜のおもいはや〜りとなぁりぃ〜、あ〜したをきぃりひら〜くためにある〜っとくらぁっ!」
その獣人は酒に酔っているようで、足元がおぼつかない。上着をスカウトの旗に見立ててバサバサと振っている。
「…ん、なんだぁ〜?」
何かに気づき立ち止まる彼の目の先には墓地がある。しかし様子が変だ。
静かで薄暗い夜の墓地には人気(ひとけ)が全くないにも関わらず、ライトの光の様なものが浮いている。
しかもその光は淡い紫色をしており、中に黒い影が見える。
「…り……さ、…り…」
その影がゆらゆら動いたかと思うと、声のような不気味な音が響き渡る。
「ひっ、ひぃぃぃっ!」
その音にボーイスカウトは悲鳴を上げ、一目散に逃走する。
「…さ、…り…さ…」
ボーイスカウトがいなくなった後も、不気味な音は墓地に響いていた。