ビーストレギオン
□Re:Born〜ビースト復活〜
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森の中にある、とある小屋。
ヒロヤがビーストレギオン入団前に使っていたという小屋に、彼らは待避していた。
修行で使っていただけの小屋は、お世辞にも綺麗とは言えない。
年月の経過もあってか、埃や汚れがよく目立つ。
ドアは完全には締まらず、窓も所々にひびが入っている。
小屋の中には、本当に使われていたのか怪しくなるベッドやテーブルがあり、端の方には瓦礫や折れた木材などが、無造作に置かれていた。
「水はさすがに止められてたけど、使ってない薬品とか包帯とかあったぞ。いるか?」
ヒロヤはどこから持ってきたのか、両手に薬品と包帯を抱えていた。
「ああ助かる。回復魔法はかなり魔力を消費してしまうからな」
それを受け取ったのはキョウシュウだ。彼は薬品を、手当てしていたコウスケの胸元へ塗っていく。
「Σ…っ!」
コウスケは傷口に浸透する薬品の刺激に、歯を食い縛る。
「痛むか?」
そんなコウスケにキョウシュウが声をかける。
コウスケは首を横に振った。
「大丈夫、元々あった傷が開いただけだから」
そう言うコウスケは平気な表情を見せていた。
「そうか」
その表情にキョウシュウは安心し、コウスケの体に包帯を巻いていく。
コウスケを含み、元々傷の深くないタクロウやタツヒコ、ヒロヤの治療を終えたキョウシュウは、今度はガクの治療に当たろうとしていた。
「オレは後でいい。オマエも少し休め。回復魔法はかなり負担がかかるんだろ?」
ガクはキョウシュウを気遣って、休むよう促す。
「問題ない。ヒロのおかげで魔力を温存できたからな。それに骨折は外からは治せない」
キョウシュウはガクの申し出を断り、さらにガクに近づく。
「でもな…」
「おれに休んでほしいと思うなら、早く治療をさせてくれ。治療が終わってからゆっくり休む」
なおも促し続けるガクに、キョウシュウは微笑みを見せて言った。
「…わかった。頼む」
キョウシュウの力強い言葉にガクは折れ、上着を脱いで上体を晒す。
それからキョウシュウは折られたガクの肋骨の治療に取りかかった。