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□四ッ谷先輩の怪談 1
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「えー
皆さんニュース等で聞いていると思いますがァ、この界隈で連続女児誘拐事件が起こっています。
下校や外出の際はくれぐれも一人にならないように」
『………………』
オレは担任の言った話を軽く流し窓の外を眺めていた。
だって、女児誘拐ってオレ男だし、関係無ェし。
昼休み、オレが教室を出るとさっきの誘拐事件の話があちこちから聞こえてきた。
「ー…今度は左足盗られたって」
「一人目は左腕だったし、このままいくと次は右足かな!?」
『………………』
廊下の一角で話す女子の横をとおると、
「よぅ!楠木ッ」
『っ!………河西」
いきなり後ろから抱きつかれ振り返ると同級生の河西がいた。
「聞いたか誘拐事件の話」
『嫌でも聞こえてくるよ。どこにいっても同じ話題ばっかで、ウゼェ…』
「じゃあ違う話をしてやろうじゃないか」
『は?』
「他じゃ聞けない、とっておきのやつな♪」
河西は廊下の壁に寄りかかり話を始めた。
「人形の手足。
被害者は必ず四肢のうちどれか一本を持ち去られていた。もちろん、それぞれ違った一本な。
で、その代わりに人形の手足が遺体に添えられていたんだと」
『…嘘じゃねぇんだよな、その話……』
いつになく真剣に話をする河西を疑うように聞くと、
「……俺、さっきネットで調べたんだけどさ…こういう話もあんのよ…」
「ー…そのコトを怨んだミカちゃん人形が、
無差別に人間を襲うんだとよォオ!!」
「ギョーー!!」
『「!!?」』
背後からとんでもない叫び声がして河西と振り返ると、同じクラスの中島真が失神しながら突っ立っていた。
『な、中島……』
「なに!女友達だと!?」
中島の登場に河西は異常に反応をしていたが全校放送で呼び出しを喰らい強制退場となった。
『…中島。お前いつからそこにいたんだ』
「だいぶ前から……って!どうしよう楠木君。もしも、ヒナノがそれに関わってたりしたら…」
『………大丈夫だって。多分さっきのはただの怪談だと思うし』
若干涙目の中島が言ったヒナノ
ー弥生ヒナノ。そいつも確か同じクラスだった気がする。
接点があんま無かったから気にしていなかったのだが、その弥生ヒナノも今行方不明ならしい。
まァ、チョット家出だって噂もあるらしいが中島の話ではそんなコトをする奴じゃないらしい。
「どうしよう…」
『……
なァ、中島。オレがさっきクラスの奴が話してたのなんだが
お前…
四ッ谷先輩って知ってるか?』
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