GMB

□白黒日和*5
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錆び付いたドアが呻きを上げながら開いた。

「ただいま」

暗い廊下に彼の声が響いた。靴を脱いで居間へと向かう。居間のドアを開くと廊下同様暗い部屋にぼんやりとテレビがついていた。砂嵐の画面に「gameover」と書かれたその下に少年が一人うつ伏せに倒れていた。

「…太一?寝てんのか?」

ゆっくりと太一と呼んだ少年に彼は近付いた。
肩を掴んで小さく揺さぶる。

「…ぅ…い…入鹿さん…?」

うつ伏せのまま呻くように太一は言った。

「おい?どうした?」

ゆっくりと太一が顔を上げる。

「…いっ……!!!!!!」

口の周りにべったりとついた朱い血。のどの下に突き刺さったナイフ。裂傷だらけの額と頬。

「うぎゃぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!太一ぃぃぃぃぃぃい!」


カシャリ










「…太一、お前何度目だ。」

「さぁ、もう両手では数えられないのは確かだけどね。」

蛍光灯が煌々と照らす部屋に正座しながらケータイをいじる太一と涙目でぶるぶる震えながら怒りを露わにする入鹿の姿があった。

「そんなに怒らないでよ。子供のいたずらじゃないか。」

「子供のいたずらにしてはお前のはクオリティが高
すぎなんだよ!!!!」


ぎゃんぎゃんと怒る入鹿を太一は楽しそうにケータイで撮る。入鹿はその表情をみて怒る気が失せたのかへたり込むように近くにあった椅子に座った。
小さく息を吐いて視線を地面に向けたまま彼は口を開いた。

「…あのな、太一。」

躊躇うような雰囲気と間があった。

「「俺はしばらく帰って来れないからお前はうちに帰れ。」」

きれいに揃った声と台詞に入鹿は目を見開いた。

「ビンゴ…でしょ?なぁに入鹿さん。カッコ付けて戦いに行くんだ?」

にやりと子供らしからぬ笑みを浮かべて太一は言った。

「なんで、」

「僕、帰らないよ。入鹿さんと一緒に行く。…帰る所なんて無いしね。」












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