ミッション系高校!陽泉!!

□第二章
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「よし、これで全員だな」

厳つい、いえ…主将が声を張り上げて仮入部員を纏めあげた。

「まず最初に……陽泉バスケ部は全国一を目指しとる。ヤル気のない腑抜けは帰れ!!!」

ちょ、ちょちょっ!

主将まって!

敦がっ…敦が帰ろうとしてるーーーーーーーーッ!!!

「次に……マネージャーは大歓迎ッ!!!」

…………は?

「テメー福井!ふざけんじゃねーアル」

「ゴフッ…!!」

「まぁ、大体は試験で落ちるけどな」

う、うわー……怖い。

先輩方デカイし、私人見知りだし。

「……可愛い女の子!」

「福井うるせーアル」

あの人…福井先輩?をバシバシ殴るなー…。

「悪いんだが…マネージャーと選手には入部試験があるんじゃ」

その言葉を聞いた仮入部員がざわざわとざわめいた。

そりゃ、試験なんて聞いてなかったから当然だよね。

「選手は、トーナメント形式の1対1。マネージャーはそうだな……軽くどこまで出来るか、福井に試してもらう」

「え?マジで?!オレってラッキー!?」

「うるさいアル!」

痛い…んだけど。

でもなんか、マネージャーの方が厳しくない?

福井先輩って……たしか、スタメンだったと思うんだけど?!

「じゃー…ストレッチやってから、マネージャー、選手の順でやるぞー」

えええぇ……そんな、めんどうな。

けど、まぁ…ジャージだし…不備はない。

とっととストレッチしとこー…。

「珠妃ちん、頑張ってねー」

「うーん…やるのは好きじゃないけど頑張るよ〜…敦もトーナメントで一番取ったらお菓子あげるー」

「いーの?」

「うん」

「頑張るし」

おぉ…なんかヤル気スイッチ入ったらしい。

良かった。

「よーし、じゃーマネージャー仮入部の人ー」

呼び出しがかかった。

「行ってきまーす」

「いってらー」

コートには私と、数人の女子。

どの子も経験者らしい。

「あれー…こんなにいるんだ。どーすんだよ、岡村ァ」

「オイ!ワシ主将!!うーむ……そんなにおっても困るしのう…」

よし決めた!

そう言った主将は爆弾を落とす。

「じゃー…限定一人!上級生に女の子のマネージャーおるし。むさ苦しいの我慢してくれる子だけでいいぞ。うむ!」

これを聞いて、脱落したのが数人。

残ったのは四人だった。

「じゃー…こっちは総当たり戦で。メインコートとか使っていーから」

これは……倍率高いな…。

でも、まぁ…頑張らないとね。

「じゃあ、適当に散らばって…」

と、適当になったワケだ。

けど……これは、思いっきりやってもいーのかな?

「よろしくね」

「どーも…」

ホイッスルが鳴って、1対1が始まった。

けど、もーよくない?

遠くから決めちゃえば。

「えっ…」

相手を軽く抜くと、そのまま撃った。

真ちゃんみたいにはいかないけど…これくらいなら入る。

当然なんだけど、綺麗にきまった。

「え、ええええええ?!!」

「なんだ今の!!」

攻守交代するも、相手の子がもう戦意喪失してた。

あらら…まだ三分くらいあるのに。

とゆーことで、圧勝。

二回目も大した番狂わせはなく、私の勝ちで終わった。

「はー…」

疲れた。

バスケやるのいつぶりだろ。

「あら?白柳選手じゃない?」

最後の相手の子が綺麗に笑った。

なんかな〜…好きになれないタイプだな。

「はぁ…まあ、そーだけど」

「残念だったんですよ?アメリカから帰ってきて皆が皆、帝光女バスが強いって言うから…楽しみにしていたのに。帝光に勝つどころか優勝しちゃいましたし…でもあなた」

少しは強いんでしょう?

はぁぁ?

コレはムカつく。

要は…私の方が弱い、って言いたいワケだ。

ヒネリつぶす。

「先制、いただいてもいい?」

「どーぞ」

相手の子からスタート。

この子のことは知ってる。

月バスにも少し出てた…アメリカ仕込みのオフェンスだっけ?

ディフェンスもスゴい将来有望の選手、らしい。

まぁ…とにかく、百聞は一見にしかず。

ぶっ潰して、お菓子やけ食いしてやるわ。

「アメリカ仕込みのオフェンスに着いてこれる?」

バカにした声が聞こえる。

時間は三分。

勝てるか不安だな〜…相手は現役だったワケだし?

「すっげ…ドリブル速ぇ……」

確かに…速いけど、

「…本場仕込みか知らないけど……少し痛い目みてもらおーか」

「は、?」

私は相手のボールを難なく奪ってゴールに向かって走る。

そのまま、

「え、ええええええ?!!」

「もしかして…ダンク?!」

ご名答。

ガコン、と軽く入った。

ダンクまで出すつもりはなかったけど、相手がムカつくとつい出ちゃうんだよね…。

私も敦のこと言えないや。

「あー…ごめん。ヤル気出ちゃったし…君も強いけど…私さ、本場仕込みだとか豪語する奴に負けたくないんだよね〜」

これまでのやり取りは、あくまで小声だよ、小声だからね?!

こんな泥沼な感じにはしたくなかったんだけど…。

ま、最後の相手も完封勝利した。

「おつかれさん、マネージャーは白柳だな」

「よろしくお願いします」

あー…疲れた。

「珠妃ちん、お疲れ〜…」

「うーん。なんというか……面白味がない対決だったけどね〜」

スポドリを飲み込みながら、汗を拭いてたら村上が近づいてきた。

うん?

なんか嫌な予感しかしないんだけど。

「白ちゃんスゴかったよ!」

「ブッ…ゴホっ…ケホケホッ…!」

白ちゃん…?

ちょ、噎せた!!

「え、大丈夫?」

「だ、大丈夫…はー…」

ヤバイ。

何がヤバイかって…笑いそうなのだよ!!

顔が…笑いそ…!

「えー、あー…村上君、見てたんだ」

「うん。見てたぜー」

チャラい奴だなー。

向こう行けー。

「そーなんだ」

「白ちゃんがマネージャーならオレも頑張らないとダメだよな!」

「え、あ…うん」

なんか、意味わかんない奴になってきた。

敦も居心地悪そう…。

「てゆーか…あの、私馴れ馴れしいの嫌いなんだ…」

「あー…ワリーワリー!なんかこれがオレの性でさ!」

心底ウザい性だな〜。

てゆーか…ダメだ。

村上ウザい。

「ちょっと……邪魔なんだけど。珠妃ちんと話してんのに邪魔しないでよ」

ちょ…え、敦どーした。

「はぁ?お前、白ちゃんの何なんだよ」

おま、村上もどーした。

そして白ちゃんやめて…ツボるわ…!

「彼氏」

「は?」

あー…ちょ、白ちゃんやめ、え?

ええええええ?!!

「彼氏だってば」

「そーなの?白ちゃん」

私に振るのか…!!

えーと、うーんと…!

チラッと敦を見ると……うん、見ない方が良かった。

「えっと…うん、そーなんだ…あははは…」

「ふーん…」

テメー村上。

村上の分際で疑うのか私を。

「だから邪魔だってば。しっしっ…!」

「うわっ…と、じゃあさ…入部試験のトーナメントでオレが勝ったら白ちゃん譲ってくんない?」

は、い?

なんつった今。

「はぁ?別にいいけど?オレが勝つし」

「ははっ…よっしゃ」

なに、え…なに?

えーと…賞品扱いした挙げ句…負けたら村上の彼女ぉぉおお!??

その村上は元いた場所に戻っていった。

「なに人を景品扱いしとんじゃこら!」

「ごっめ〜んってば。大丈夫〜…勝つし」

「あぁ…そりゃ、勝ってもらわないと困るし…」

勝って…もらわないと…村上の、彼女……!

絶対に、イヤだ。



***



ま、瞬殺だったかな。

大体、村上と敦が釣り合うわけがなかった。

村上も「チョロい!」とか言ってたけど、実際にチョロかったのはお前だ…みたいな。

トーナメント形式では敦が全勝した。

で、無事に私もマネージャー試験合格で当分一段落…。

「よし!インターハイ予選に向けて!!頑張っていこっかい!!!」

「…………」

………………。

「誰か反応して頼むから反応して。じゃないとワシ挫ける」
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