赤い果実
□アンケート結果
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私が米沢城に来てから、早二ヶ月が経った。
傷は大分回復して、軽く動かしたり、ものを書くくらいならば差し障りない程だ。
慣れない米沢での私の、
目付というか、体の言い見張りとなった恭衡とも打ち解けて、
思えば結構いい暮らしをしていると自覚し始めた初夏。
「御前、そろそろこれ、かきませんか?」
恭衡が持ってきたのは分厚い紙の束。
小十郎から課せられた、あの安家干支であった。
「ああ、そんなのあったなあ……」
「そろそろ物書きも出来るようになりましたし」
「そうだな。じゃあ、喜多さん呼んできてくれないか」
「了解しました」
恭衡はしゅっ、と屋根裏に消えていった。
「ああ…あのアンケートね」
しばらくして、恭衡と共に入室した喜多さんは、
まるで汚いものを見るように安家干支を一瞥した。
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