赤い果実

□痛み
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右腕の包帯がとれた。

白い包帯の下は、広く抉れた傷痕。
たまに、喜多さんがそっと拭いてくれたそこは、しかし少し汚れていた。

「これで包帯は全部取れたね。今日から腕もお風呂に入れて良いよ」

喜多さんは嬉しそうに、包帯を巻き取っている。

「ありがとう。…ところでこれは、どんな風についた傷なんだ?刀傷にしては広い傷だぞ」

ふと不思議に思って訊ねる。
喜多さんは、少し顔をしかめ、

「ん?ああ、腕の肉がこそげていたんだよ」

「……………………………………………こそげ?」

あっさりと言い放たれた言葉に、思わず聞き返す。

「ああ。ここ、この辺りから、刀がささって、そのまま…」

丁寧に、自らの腕に刀に見立てた指をあてがって説明する。
要はもう、刺さったなんてものではなく肉ごと切り取られていたと言いたいらしい。

「いやあ、本当に痛そうだったね、あれは。よく生きていたもんだよ」

「……下手をしていたら死んでいたな」

「もう無茶するんじゃないよ」

「は〜い」




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