仮面ライダーディライト-世界の光導者-
□第14導 ネガわない記憶を取り戻せ!
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―2007年1月28日・天文台付近
「ユウト…ユウトが…!!」
そこではアイリは、天文台の頂上の柵にもたれ掛かりそれが突然壊れた為落下死した婚約者を白い布で包んだ担架を見て目の輝きを失い呆然としていた。
「可哀想にな…。」
「あんな美人を残しちまうなんて…。」
「うっ…!?」
周りの人間がそんな彼女を哀れんでいた時、アイリの身体から大量の砂が零れ落ちそれはユニコーンIの姿となり実体化した。
「う…うわあぁぁっっ!!何だっ!?」
「化物だあぁぁっっ!!」
『着いたは良いが…小煩い人間共が邪魔だな…はぁっ!!』
ユニコーンIはアイリを始末する前に、周囲の人間が邪魔だと判断し掌から光弾を建物や人々に放ち、破壊活動を行った。そこへ、ネガライナーが走り出し中から闇影とリョウタロウが現れた。
「酷い…!!」
「…。」
荒れ果てた天文台や傷付いた人々を見て、闇影は悲しみと怒りを感じていた。だがリョウタロウは未だ浮かない顔をしていた。
『あの超異点さえ消せば、余は新たな世界の支配者となれる!!』
「そんな事させるかっ!変身!」
【KAMEN-RIDE…DELIGHT!】
「…変身!」
【NEGA-FORM!】
闇影はディライトに、リョウタロウはネガ電王NFに変身し ユニコーンIと戦おうと前に出た。
『痛つぅ…強さは…別格だ!』
『さて、輝く道へと導かせるけど…リョウタロウ君、大丈夫かい?』
(は…はい…。)
『世界を導くのは…余だっ!!』
ユニコーンIは、剣を取り出し二人に斬り掛かっていった。だが、ディライトはライトブッカー・ソードモードを、ネガ電王NFはデンガッシャー・ソードモードを構えて斬り結んだ。
『ふんっ!はっ!ぜやっ!!』
『くっ…!!数ではこっちが上なのによ…!!』
『弱気になるなっ!!必ず隙は見つかる!!』
ネガ電王NFの言う通り、数の上では此方が有利なのにも関わらずユニコーンIの方が強く押され気味になり嘆いていたが、ディライトはそんな彼に集中する様諌めた。
『貴様等に余は倒せんよ…倒せばネガ電王の姉が失意にかられ、自ら死を選ぶのだからなぁっ!!』
(……っっ!!)
『知った事か。お前は俺の目の前で平伏す事になってるんだからなぁっ!!』
ユニコーンIはアイリが死を選ぶかもしれない事をディライト達に告げ揺さぶりかけたが、ネガ電王NFはそれを一蹴し再び斬り掛かろうとした。しかし…
(待って!!ネガタロス!!)
『なっ…!?リョウ…タロウ…何の…真似だっ!?』
『リョウタロウ君…!!』
ネガ電王NFはデンガッシャーを上に持った状態で、そのまま硬直した様に動かなくなった。リョウタロウが特異点の力でネガタロスを止めたからだ。
『はははっ!!これはいい的となったな!!はぁっ!!』
『ガァッ!!』
ユニコーンIはネガ電王NFが動かないのを良い事に、光弾を放った。そして、ユニコーンIは、自身の身体から無数のパンプキンIを生み出した。
『ケケケ…!!』
『またか…!こうなったら…!!』
【SHADOW-RIDE…DARK-KIVA!】
【ATTACK-RIDE…GARULU-SAVER!】
事実上戦力が一人と化したディライトは、自身の影をガルルセイバーを装備させたSダークキバにシャドウライドさせ、パンプキンIと戦う戦力を増やした。
『……!!』
『ギャアッ!!』
Sダークキバは次々と敵を斬って行き、ディライトも同じ様に倒し、パンプキンI達を全滅させた。
『中々やるな…だが…はぁっ!!』
『ぐあぁぁっっ!!』
ユニコーンIは、掌から光弾を放ちディライトとSダークキバにダメージを与えた。
『く…くそっ…!!』
『おい!リョウタロウ!!何時までそうしてるつもりだっ!?』
(分かってるよ!!自分が何を仕出かしているのか!!でもボクは、姉さんが悲しむ顔を…もう見たく無いんだ…!!)
リョウタロウは、心の中で涙ながらに叫んでいた。彼が躊躇う理由、それはアイリが悲しむ顔を二度と見たく無かったからである。
『戦う意思を無くし、腑抜けたネガ電王等取るに足らん!もう一発…喰らうがいいっ!!』
『くっ…!!ヤバいぜ!!避けきれ無ぇっ!!』
ユニコーンIは、未だ動こうとしないネガ電王NFに再度光弾を放った。 既に回避する事が出来ない距離迄光弾が近付いてきた。そこへ…
『……!!』
『ぐあぁぁっっ!!』
『ディライト!!』/(闇影さんっ!!)
突然、Sダークキバがネガ電王NFの前に立ちはだかり光弾を受けて消滅した。影がダメージを受けた事で、ディライトもそのダメージを受け、身体から煙を出し胸を押さえて苦しんでいた。
『うっ…くっ…!!しっかりするんだリョウタロウ君!!確かに、君のお姉さんの悪い記憶を取り戻す事が嫌なのは分かる!!俺だって…忘れたい記憶を持ってるから…!!』
(えっ…!!)
『だけど…何時までもそれを怖がってばかりはいられない!!良い記憶も、嫌な記憶もその人の「現在(いま)」を表わす、一つでも失くしてはいけない大事な物だから!!』
(……。)
『例え傷付くとしても、それを恐れていたらその未来(さき)を手にする事は出来ない!!だからこそ、君は今自分に出来る事をする時なんだっ!!』
(ボクが今、出来る事…!!)
リョウタロウは、ディライトの言葉を聞き自分が何をすべきなのかを考え出した。
『リョウタロウ…お前は俺や雌猫、山羊女、燕忍者とこう契約したよな?「自分に出来る事…時の運行を守る手助けをして欲しい」ってな。あの時のお前の目、悪くなかったぜ。』
(ネガタロス…。)
『だからお前は、自分が決めた事をやれば良いんだ…。仮にもこの「究極の悪」である俺を従えたんだからな!もう少し自身を持てっ!!』
(うん…さっきはごめん。それと…ありがとう!!)
『ふ、ふんっ!!俺以外の悪党は、計画の邪魔になるからお前を利用してるだけなんだからなっ!!///』
(はは…分かってるよ。)
ネガタロスは不器用ながらもリョウタロウを励まし礼を言われたが、ユニコーンIが自分の「計画」の邪魔になると言って照れ隠しをした。
『先程から余を無視しおって…貴様、何様のつもりだっ!?』
『何様でも無いさ…お節介教師な仮面ライダーだ!!宜しく!!』
『ほざけっ!!こうなれば貴様を一気に潰してやるっ!!ングッ!!グオォォォォッッッッ!!!!』
ユニコーンIはディライト達を潰すべく、何故か自分で自分の胸を剣で突き刺し全身に黒いオーラを纏い姿を変化させた…。
『な、何だっ…!?黒いオーラがどんどん大きくなっていく!?』
『グオォォォォォォォン!!!!』
『自分で暴走しやがったか!!だが、何だあの姿は!?』
黒いオーラが止むと、イマジンがイメージを暴走した姿「ギガンデス」が現出された。上半身が三本角の黒牛「ヘル」、背中に「ヘブン」の白い翼、そして下半身が「ハデス」の金色の龍の腹部と三体のギガンデスが複合した「ギガンデスキメラ」として…。
『あんなの今迄見た事なかったぞ!?だが、此処はネガライナーで…!!』
ネガ電王NFはギガンデスKを倒す為、ネガライナーを呼び出したが…
『ガァァァァッッッッ!!!!』
『なっ!!』
(ネガライナーがっ!!)
だが、そうはさせじとギガンデスKは口から黒い炎弾を放ち、ネガライナーを使用不能にさせた。
『くそっ!!ネガライナーをやられちまったらあいつは倒せねぇぞっ!!』
『なら君が「なれば」良いじゃないか。こいつでね。』
【FINAL-FORM-RIDE…NE・NE・NE・NEGA-DEN-O!】
『二人共、力を抜いて。』
『ンガッ!?/(うわぁっ!?)』
ディライトがネガ電王NFの背中に手を当てると、ネガ電王NFは途端にネガライナーその物に変形した。これがネガ電王のFFR「ネガデンオウライナー」である。そしてディライトは何処からか現れたマシンディライターに乗って走り出しそのままNライナーのコックピットに乗り込んだ。
『おいディライト!何だこれは!?』
『あれに勝つにはネガライナーしかないだろ?行くぞっ!!今からが本当のクライマックスだっ!!』
『答えになるかぁぁっっ!!』
(諦めよ…ネガタロス。)
ネガタロスの叫びを無視し、Nライナーはレールを螺旋状に敷いて走りつつ、正面のバルカン砲でギガンデスKに連射した。
『グギャアァァン!!ガァッ!!』
だがギガンデスKも口から黒い炎弾を吐きながら、翼から無数の尖った羽根を撃ち出した。
『おっと!当たらせないよっ…と!!』
ディライトが方向を切り替える事で、Nライナーは今の攻撃を上手く回避する事が出来た。
『リョウタロウ君!!止めいくけど…もう大丈夫だね?』
(はいっ!!)
【FINAL-ATTACK-RIDE…NE・NE・NE・NEGA-DEN-O!】
『これで…終わりだぁっ!!』
『グギャアァァァァッッッッ!!!!』
ディライトがカードを装填すると、Nライナーは正面のバルカン砲、全車両から黒鬼、猫、山羊、燕の形をしたミサイルを放つFAR 「ディライトトレイン」でギガンデスKを大爆発させた。
―希望ヶ丘病院
「姉…さん…。」
現在の時間に戻ったリョウタロウは、恐る恐るアイリの病室に入り姉の名前を呼んだ。
「リョウちゃん…。」
「(…良かった。)」
イマジンを倒した事により、記憶が戻り呼び方も元に戻りリョウタロウは内心をした。
「あ…あの、姉さ「私ね…できたみたいなの。」あぁ、そうなん…って、え?まさか…!!」
アイリは頷きながら起き上がり腹を摩り出した。何と彼女は、妊娠していたのだ。
「それでね、お医者様にこの手首の事で怒られたの。『これから母親になる人が命を粗末にするな!』って。」
「……。」
「だから私、ユウトの為にも、この子の未来の為に頑張る事を…って、リョウちゃん?」
「良かっ…た…良かった…うっ、うぅっ…!!」
リョウタロウはその場でしゃがみ込み、嬉しさと安心感で涙を流していた。
「あらあら、泣き虫な叔父さんね…。」
「素敵な家族の絵だわ…。」
リョウタロウとアイリ、そして茶髪の青年・ユウトと少女が一緒に星空を見ている絵を見て 影魅璃は感激し、闇影は目頭を押させていた。
「本当…ですね…。」
「それにしても、まさかアイリさんに赤ちゃんができてたなんてね…。」
「その子の未来の為にリョウタロウ君は頑張っていくだろうね。自分の出来る事をして…。」
「だなっ!俺も自分に出来る事を生かしていいモン手に入ったしな!」
「ん?コウイチ、何持って…って!!何これっ!?」
黒深子はコウイチの持っている物を取り上げ、怒りを露にした。それは、ペルシア達が憑依した自分のセクシーポーズを取った写真だったのだ。どうやら彼女が眠ってる隙に憑依し、無断撮影した様だ。
「やべっ!!逃げろっ!!」
「待ちなさ〜いっ!!」
黒深子は怒りの表情のまま、コウイチを追い回した。
「全く…二人共暴れな…!!」
闇影が二人に注意しようとした時、次の世界を表すキャンバスに、無数の隕石が東京都内に墜落した光景と複数の昆虫が飛び交った絵が描かれた。
「ダークカブトの世界か…。」
「くそっ!!結局お宝は手に入らず終いかよっ!!」
「まぁまぁ、次の世界で挽回すれば良いじゃな…!?」
今回、全く出番が無く宝も入手出来ずに苛立つ周を、次の世界で挽回すれば良いと冷静に切り替える巡は、何者かの視線を感じ背後を向き出した。
「どうしたんだ、巡ちゃん?」
「ううん。何でも無いわ。(さっきの視線は一体…?)」
「ウククク…。」
巡が感付いた謎の視線の人物は、不気味に笑いながら灰色のオーロラを潜り、この世界から姿を消していった…。