仮面ライダーディライト-世界の光導者-

□第14導 ネガわない記憶を取り戻せ!
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―ネガライナー・乗客室


「…ん、こ…此処は…ネガライナー…?」

闇影が目を覚ますと、いつの間にかネガライナーの乗客室の席に乗っかっており、テーブルには珈琲に入ったカップが置いてあった。

「気が付いたかい?闇影。」

「トキナさん…!!黒深子達は!?」

「安心しな。別の車両でぐっすり寝ているよ。」

「そうですか…。」

闇影は黒深子達の無事を聞き安心すると、出された珈琲のカップを取り戻す口にしながらトキナからこれ迄の経緯を聞いた。ユニコーンイマジンが分身のパンプキンイマジン達に人々の時間を奪わせ、特異点の力で生き残り、一度世界を消滅させ自分だけの世界を創造しようと企んでいた事を…。

「そんな事が…でも何で無事だったんだろう…。特異点のリョウタロウ君も巻き添えになったのに…。」

「それは恐らく『超異点』の能力だね。」

「『超異点』…?」

闇影は「超異点」という聞き慣れない単語に首を傾げていた。トキナはゆっくりと乗車内を往復しながら胸の谷間から何故か珈琲の入ったカップを取り出し、口にしながら説明し出した。

「『特異点』は、あらゆる時間の干渉を受け付けない存在…これは知ってるよな?んで、『超異点』ってのが…」

トキナの言葉に頷く闇影。そして彼女は一旦間を置き珈琲を飲み干し、谷間にカップを入れそこから新しい珈琲を取り出しながら話を続けた。

「時間を…世界を『固定』する存在…。」

「……!?それってどういう事ですか?」

「特異点とは違い、超異点はその存在…記憶が現存するだけでどんな時間の歪みも『本来の時間や存在を戻す』能力さ。但し、その人間の存在を消す事は可能だけどな。例えば、超異点の過去に行ってその人間を消す等してね。」

「超異点の記憶をそのイマジンが取り込んでいたのが不幸中の幸いだったんだな…。!!だとしたら…!?」

「奴さんは、間違い無くその超異点を突き止めようとするだろうね。」

トキナは、闇影の悪い予想を頷き口にした。

「早く何とかしないと…!!」

それを聞いた闇影は、イマジン達の企みを阻止するべく動き出そうとしたその時…

『リョウタロウの奴、何処行きやがったんだ!?』

「何だい、騒がしいわね。」

「リョウタロウ君がどうかしたのか?」

『あの子がいないのよ。全車両を見たけど何処にもいなかったの。』

『意識も締め出されていて、感知する事が出来ませんわ。』

『主は一体何処に…?』

乗客室に現れたネガタロス達の行動を闇影が尋ねると、どうやらリョウタロウが姿をくらましたようだ。

「…あそこかもね。」

「えっ?」

「あんた達はイマジン達の散策をお願い。リョウタロウはあたしが探すわ。」

『知ってんなら教えろよ!!ババ…ブッ!!』

「誰がババァじゃコラァッ!!乗車拒否にされたくなかったらさっさと行けっ!!」

リョウタロウの居場所に心当たりがあるトキナは闇影達にイマジン散策の指示を出した。ネガタロスは悪口を言いながら居場所を聞き出そうとしたが正拳突きを喰らい地に沈んだ。

「わ、分かりました!!皆、早く行こう!!」

彼女の怒号と行動に驚いた闇影はペルシア、カプラ、ツバキと共に乗客室を後にした。



―ネガライナー・操縦室


「…。」

リョウタロウは、ずっと専用マシン「デンバード」が搭載したコックピットを見つめながら「ある事」を考えていた。

「(…もし、ユウトさんが亡くなる前の時間に行けたら姉さんが悲しまなくて済むかもしれない…。だけど…)」

なんと、アイリの婚約者・葉月(はづき)ユウトが事故で命を落とす前の時間に行き彼の死を防ごうと考えていたのだ。だがそれは、時の運行を護る者として決して許されない行為だ…。

「やっぱ此処にいたか…。」

「!!オーナー…!!」

「あんたまさか、『過去に行ければ…』とか考えてんじゃないだろうね?」

「…!!」

トキナの鋭い指摘に、リョウタロウは図星を差され目を見開き即座に伏せ、怯えた様に驚いた。

「そ…それは…。」

「いいかい、『過去の時間での自分勝手な行動は御法度だ。』と何度も言い聞かせたわよな?それ以上は言わなくても分かるだろ?」

「は…はい…。」

トキナは厳しい表情でリョウタロウを諫め、そのまま踵を返し操縦室を後にした。

「ボクは…どうすればいいんだ…!?」

リョウタロウはその場で膝を付き、下を向きながら悩み出した。



―世界の光導者、ディライト!9つの影の世界を巡り、その瞳は、何を照らす?
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