レジェンズ2

□47.風が街から消えたとさ
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 ブルーノたちは急いで家から出る。
「ディーノ!」
「マック!」
「メグ!」
 両親に呼ばれ振り向くと抱き着かれる。
「…ついにレジェンズウォーが始まってしまった」
「レジェンウォー!?」
「バリアが消えてしまった…今攻め来られたらおしまいだ。」
 メグの母親は娘を抱き締めた。
「大丈夫。僕達、護るから!」
「戦うぞ!」
「ああ」
 頷き合い歩き出すがその瞬間、ガリオンが膝を付く。
「ガリオン?」
「どうしたと言うのだ…力が…」
「ズオウ?」
「あ、あれ…?立てないよ…?」
 ズオウも座り込んでしまう。
「グリードー!背中の火が…」
「あ?なんだ?ガス切れか?」
「そもそも、ガスで動いてねぇぞ…俺達…」
 背中に続いて尻尾の炎も消え、膝を付く。
「グリードー!」
「ディオ…どういう…ことだ…?」
 ウォルフィー達も膝を付いていた。
「どうしたんさ?」
「わ、わかんね…体に力が入らない…!」
「立てない…!」
「くそっ…」
 立とうとして膝を付く。
「どうしたと言うのだ……はっ」
 ガリオンは何か気付いたように少し立ち上がるがすぐに膝を付き、周りを見る。
「風が…止まっている…!」
『!?』
 ガリオンの言葉にレジェンズが驚く。そして、次々と倒れていく。
「ガリオン!」
「グリードー!」
「ズオウ!」
「ちょ、ウォルフィー!リーオン!」
「ビート!」
「フェンリル?」
「ディオ…!」
 それぞれ、レジェンズの顔が見える所へ。すると光りながら消えていった。
「ああ…!なんで!?」
 タリスポットも浮き、消えていく。ディーノの薔薇もなくなり、ライズの火傷も消えた。
「…どうなっている?」
 レジェンズがいないグレイは冷静に呟く。両親もそれを呆然と見ていると何かの足音がしてくる。玄関の方を見ると黒水晶を背負ったアイアンゴーレム達がこっちに向かっていた。
「ちっ…休まる暇ねぇってか…ディーノ、メグ、マック。後ろにいろ」
 人間破綻はディーノ達を引っ張り自分達の後ろへ。ケイトも槍を取り出す。
「アスカ、交渉云々はお前に任せていいさ?」
「お前、得意じゃねぇのかよ」
「正直気持ち悪さで考えが回んない」
「…OK。期待はすんなよ?」
「大丈夫。最終決定権はディーノさから」
「え!?」
「あはっ☆」
 驚いた風にケイトを見る。口ではおちゃらけていたが真剣な目をしていた。それを見て…
「…わかった…アスカ、一緒に考えてくれる…?」
「しょうがねぇな。いいぞ」
「皆…」
「大丈夫なんだな…」
「そうそうっ!大丈夫だって!」
 不安そうなメグをマックとラストが元気づける。父親たちが前に出た。
「ちょ、ディーノのおやじさん、あぶねぇから下がってろって」
「子供達だけに任せられないからね」
 人間破綻の言葉に返したのはメグ父。
「なんだな。」
「あんた達も戦える力があるからって普通の子供だよ。」
 それに頷く他二人、そして、人間破綻達にそういうメリッサ。するとヘリが降りてきた。普通のヘリじゃなくて大人数が乗れるようなヘリ。アイアンゴーレムは道を開ける。グレイ達はいつでも大丈夫なように構える。ヘリの中から降りてきたのはユル。
「あの人…」
「DWCのCEOなんだな」
「DWC…」
「つまり、敵のたいしょうってことか」
「そうなるさね」
 ユルは真っ直ぐディーノ達へと歩いてくる。
「君達に会えて光栄だよ」
「おれ達はこうえいって思わねぇな」
「それは残念だ。しかし、土、火、水のサーガがこんな子供とは…何故君達がサーガに選ばれたのか…ぜひ、教えてもらいたいものだね」
「あなた…一体こんな真似をしてどういうつもりなんですか!?」
「少し子供達と話がしたいだけですよ。タリスポットはどこかな?後、ソウルドールも…あれは非常に危険なものなのだよ。さ、いい子だ、渡しなさい」
 マック達は判断に迷う。
「ねぇよ。タリスポットもソウルドールも。消えてなくった。」
 代わりに人間破綻が答える。ユルは笑う。
「嘘はいけないなぁ」
「嘘じゃねぇよ!本当に消えてなくなっちまったんだ!」
 ラストが言うと笑みを浮かべたまま指を鳴らす。すると白衣を着た老人が現れる。
「ワシが来たからにはもう大丈夫!」
「パーキンス博士、例のタリスポット探索ソフト。完成しているんでしょうね?」
「たーくさんのソフト作って六十年、ワシに作れないソフトはなーいんだ。あぁ?」
 パーキンスは両親に囲まれている不安そうにこちらを見ているディーノ達が視界に入る。
「…何を企んどる?」
「企む?子供達を護りたいだけですよ。」
「嘘つけ。ディーノ達を利用してグリードー達を消そうと思ったんさろ?」
 ケイトが言うとユルは眉間を寄せた。するとパーキンスがソフトを叩きつけ、踏みつけて壊していく。
「どういうつもりです?」
「だーまれ!小童!お前に渡すソフトなどない!」
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