拍手録
□そこにある幸せ
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梅雨時の珍しく晴れた日――
新選組と長年ともに過ごした永倉さんと袂を分かち
私を選び共に生きることを選んでくれた大切な人。
落ち着いて過ごせる今、ちょっとしたことがすごく幸せで口元が緩んでしまう。
「 なに笑ってんだ? 」
後ろから両腕で私を抱き締め耳元で甘く囁やきかけられる。
『 左之助さん 』
振り向くと琥珀色の瞳に私の幸せな顔が映っていた。
『 …その、幸せで。 左之助さんと私の洗濯物が空に舞っているのが 』
私が洗濯物を見上げると、彼も釣られて同じ方向を見る。
「 ああ、だな。 これからはちびも増えるかもしれねぇからよ 」
『 そうですね 』
私はさらに口元を緩ませる。
きっと来年の今頃、洗濯物は三人分となっているのかもしれない。
そこにある幸せが来年も再来年も続いていく。
私は、そっと左之助さんの手に手を重ねた。
了