拍手録
□今すぐ君を
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柔らかい唇に優しく触れる口づけ。
唇を薄く開いた瞬間、舌を差込み歯列をなぞる。
逃げようとする彼女の可愛い舌を絡め取り深く甘いものに変わる。
『 …っ………ふっ… 』
しばらくすると彼女の甘い声が漏れてきた。
僕と彼女は二月ほど前に恋仲になった。
可笑しいよね。
彼女が僕のものになったとたん、彼女にこうして触れることができるようになったとたん
今まで抑えてきた感情が剥き出しになる。
今すぐ君を抱きしめたい、今すぐ僕の腕の中に閉じ込めたい。
彼女の可愛い耳朶を舐め上げ、首筋に顔を埋める。
首筋から鎖骨へ、それから胸の膨らみへ熱い舌を這わせる。
『 お、沖田さん…わ、私…その… 』
彼女は細い両腕で僕の胸を押した。
「 ごめんね。 怖い? 」
『 す、すみません…少しだけ… 』
「 大丈夫。 今日はここまでにしておくから 」
本当は大丈夫なんかじゃない。
焦らされて僕の欲望は膨らむばかり…
君が可愛いからいけないんだよ。
その笑顔も仕草も声も全てが僕を駆り立てるんだ。
でも、それ以上に僕は愛おしい君を大事にしたいんだ。
焦らずゆっくり、君の心の準備ができるまで待ってあげる。
「 でも、僕、もう君が欲しくてたまらないんだ。 だから早く僕の熱を君に伝えさせてね 」
今すぐ君を抱きしめたいこの気持ちを覚えておいてね。
了