世界一初恋

□私を●●に連れてって☆
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もう何度目になるのか…またしても『緊急事態』を理由に横暴上司からメールで呼び出された。


メールの題名『緊急』、本文『鍵開いてる』…以上。


「時間ある?」や「今どこ?」など俺の都合を気にする文は一切なく。

その緊急とやらの内容も全く書かれていない。


…というかせめて「家に来い」くらい書いてもいいんじゃないのか!?



言いたいことは山ほどあるのだが、結局その文面で全てを理解して相手の望む行動を起こしてしまう自分がいるのも事実。


…まあ当然文句は言わせてもらうけど!



ドアノブに手をかければガチャリと開く音がした。
メールに書かれている通り鍵はきちんと開けられているようだ。

仮にも一応上司宅なので「お邪魔します!」とおそらくリビングで寛いでいるであろうメールの差出人に聞こえるように来訪を告げる。






「ん。いらっしゃい。」


不埒な事を言えば、すぐさま文句で対応しようとしていたのだが…。

部屋に入ると、眼鏡をかけた高野さんが机の上に散らかるカラフルな紙類から顔を上げて俺を出迎えた。



あれ?
今回は本当に仕事…なのか?



はっきり言って高野さんの『緊急』が仕事に関わることであったことは無いに等しい。
まあ『今回は』と言っている時点でそれは明らかなわけだけど。


けれど『今回は』仕事時におなじみの黒縁眼鏡をかけているし、何より書類らしき物もある。

「どーした?座れよ。」


訝しげな表情で立ったままの俺を不審に思ったのか、再度高野さんが声をかける。



「あ…はい。」


どうせまたロクでもないことを強要されるんだろうと期待…ではなくて構えていた自分がなんだか恥かしくなって、声が変に上ずった。
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