世界一初恋

□「I love you」の名訳 後半
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一人もんもんとしていたら高野さんが、いいことを思いついたとばかりに口を開いた。


「お前、名訳って言ったけどさ。俺ならもっといい訳できるぜ?」

「なんですか。」

「聞きたい?」

ニヤ、と口の端をあげて高野さんが笑う。


「いや、やっぱ結構です。遠慮しときます」

高野さんの口調に不穏な気配を感じて思いっきり断ってみたが、目の前の男は俺の拒絶なんて気にもしないで、さっきまでのにやついた顔から一変優しい、愛しいものでも見るような顔つきで静かに甘い声で言葉を発した。




「何でもいーんじゃねーの。気持ちがこもってりゃさ。」

「え…?」

「『おはよう』でも『いい天気ですね』でも『飯うまかったな』でもさ。好きな相手に言ったことなら気持ちこもってるしだろうし、そういう言葉って全部『I love you』 と一緒のことだろ」


「高野さん…」


何を言われるのだろうと構えていたら、予想外に心に響くことを言われて、とまどってしまった。



「『今日の服似合ってる』でも『寝癖ついてるぞ』でも『さっさと原稿とってこいこのノロマ』でも『お前いい加減部屋片付けたら?』でもさ。」



「…最後辺りただの悪口になってませんか」




っなんだよ!一瞬感動して損した!

さっきの俺の「高野さん…」を、感動を返せっ!!
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