夜空に消えた光・譲れない想い
□湯気の先に見えたもの
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(はぁ……それにしてもさっきはどうしたんだ…)
地霊殿に戻り、玄関ホールで一息吐く間も、俺はチルノの「好き」について考えていた。
「きゅーとにもいろいろあったねー」
「ねー♪」
さっきの「好き」は何かが違ってたように感じた。親友じゃなくて、もっと別のそれより大きな感情に…。
思い返せば、今までの俺に対するチルノの行動は、親友として好きの行動だったのか。さっきだって必死で何かを伝えようと頑張ってた。結局、その何かはいまいち分からなかったが、親友の好きだったらあそこまでするのだろうか。
「優也さん」
「……」
「? おーーい」
チルノだからその好きだと俺が勝手に思い込んでるだけじゃないのか…。
「……」パンッ
「はわっ!」
「ふふっ、気づきました? みんな、先に行っちゃいますよ?」
「あ……うん。ありがとう、大ちゃん…」
止めよう。これでもし思い違いだったらチルノを傷つける。あの時、親友って言ったのに親友じゃなかったの!? って変な溝ができるかもしれない。
チルノは妖精でまだ子供だ。絶対にそうなる。
「そもそも俺はチルノを親友としか…」
「え? ユーヤ、何か言った?」
「い、いや! 何でもない何でもないっ!」
「?」
「優也おそ〜い」
「い、今行くよ!」
切り替えるように笑顔を作りながら、俺はみんなの後ろに付いていく。
も、もう変に意識しないようにしとこっ!