夜空に消えた光・譲れない想い

□ポッキーゲーム
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「……え? ポッキー…何?」
「だから、ポッキーゲーム」

 ポッキーゲーム……確か二人がポッキー両端片方をくわえ、そこから徐々に食べ進める━━

「はあ!? あのポッキーゲーム!?」
「うん♪ あのポッキーゲーム♪」


 王様ゲーム、十六回目。てゐから命じられた内容は正直信じられないものだった。王様ゲームしようと言ってきた時よりもずっと酷い…。

「優也のその反応は間違いなく9番か2番ウサね。さてさて、その優也のお相手は誰でしょうかね〜♪」
「や、やらないからな! 絶対にやらないからなっ!!」
「あの鴉天狗に話しちゃおうかな〜」
「うぐっ!」

 あの鴉天狗という言葉に俺は思わず押し黙ってしまう。苦湯を飲むような表情にもなった。ロリコン疑惑があるせいか何も言い返せないとは…!

「ね、ねえ、ユーヤ。あたいが2番だったんだけど、それってポッキー…で何するの?」
「……え?」

 そんな反論できず苦しんでる俺に、隣で座っているチルノが袖を引っ張り……こう聞いてきた。

「ち、チルノが2番…?」
「うん。ユーヤが9番でしょ? だから、何するのかなって…」
「……マジで?」
「ウッサッサ♪ チルノ以外にも知らない人がいると思うし、そこは丁寧に教えてあげるウサよ♪」

 言葉通り、(一部を除いて)周りのほとんどがその存在すら知っていなかった顔だ。てゐはいつもの意地悪そうな顔を覗かせながら説明し始める。

「ポッキーゲームというのは、二人が向かい、一本のポッキーの端を互いに食べ進んでいくゲームウサ。それは同時にどっちかがポッキーを口から離したり、途中で折れたりしないとそのままキスしちゃうゲーム♪」

『お、おおーー!?』

「え……えええええぇ!?」

 事態が飲み込めたのか、チルノは見る見る内に赤くなっていく。口もパクパクし始めた。

「と、まあ、ある意味緊張感たっぷりのゲームと覚えておくウサ♪」
「ゆ、ゆゆゆーやと……ききききききしゅぅ!?」
「お、落ち着けって! そうならないように━━」
「ちなみにポッキーをわざと離す折るはなしウサよ。また、私がわざとじゃないと判断するまで何回もやってもらうウサ♪」
「ルールを付け加えるなあ!!」

 そもそもポッキーゲームって、ポッキーを離したり折ったりしたら負けの勝敗付きゲームでもなかったかぁ!? 何でそういう肝心な部分は抜かしてるんだよ!!

(こんなのキスするしか……そうだっ!)

「そ、それで肝心のポッキーは何処だよ? 手元になきゃやる事も━━」
「ちょうどオヤツに持ってきたウサ♪」
「うがあああああああっ!!!」
「き、きす……きしゅ…」


 こうして俺たちは王様ゲーム最後の命令として、「ポッキーゲーム」をやる事となってしまった…。



「てゐちゃん。今度は二人をキスさせたいがためにこんな悪戯を考えたの…?」
「そこまでしないウサよ♪ 心配しなくても私に任せとけば大丈夫♪」
「……」

 
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