夜空に消えた光・譲れない想い

□流した涙の意味…
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 冷たい……とても冷たい。まるで、深海に沈んでしまったかのように冷たい…。


「んあ…?」

 その冷たさで俺は目を覚めた…はずだったが、何も見えない。黙視できないほど真っ暗だった。いや、そもそも俺の目が正常に機能してるのかどうかさえ分からない…。

「……」

 そんな曖昧な状態ながらも、俺は真っ暗な周囲を見回す…。


「……起…キタカ?」


 突然、暗闇の中から声が響いた。カタコトで声音的に男の声…に近い声だった…。

「誰……だ?」

 俺は声の主に聞いた。今まで声を使ってなかったような渋い声が出たが、それでも聞いてみた。

「オ前ノ中ニ居ル者…」
「俺の……中に?」

 声の主は意味の分からない事を言ってきた。俺は困惑する。

「んだよ、それ…」
「ソンナ事ハ気ニスルナ…」
「いや、気にするだろ…」
「ソレヨリモ…」

 まるで聞き耳を持たないかのように、話題はあっさりと変わっていった。

「自分ガ今死ニ掛ケノ一歩手前ダトイウ事……分カルカ?」
「は?」

 俺が死に掛け? 痛みとかが全くないから分からない…。

「紅イ吸血鬼ノ妹カラ貰ッタ傷が大キスギタノダ…」
「あっ……そうだった」

 記憶が曖昧だけど、新スペカの効力が切れたんだ。それで今まで受けていた痛みが一気に襲ったんだ…。

「並ノ人間ダッタラ死ンデル…」
「はぁ……そっか…」
「ダガ、ソレモ死ニ掛ケデ済ンダ…」
「死に掛けも同じだろ? この後、次第に弱って━━」
「俺ガ憑イテルカラソウモ死ナナイダロウ。オ前モ…」

 憑いてる? 声の主は俺に憑いていると言ったか?

「……お前は何なんだ? 霊的なものなのか?」
「言ッタハズダ。オ前ノ中ニ居ル者ダト。移住者トモ言ウカ…」
「……」
「オ前に死ナレテハ俺モ困ルカラナ。ソレニ…」


「ユウヤァ!! たくさん、たくさん謝るから死なないでええっ!!」
「勝手にあんな事をして、勝手に死ぬなんて絶対許さないわよっ!!」 


 声の主とは別の声が二つ聞こえた。フランの泣き叫ぶ声と、レミリアの怒鳴り散らす声だった…。

「悲シム奴等モ出ルダロウ。マァ、俺ニハ関係ナイ話ダガナ…」
「……」


「赤池優也。オ前ハ生キナクテハナラナイ。大切ナ者ノタメ……ソシテ…」





 ……それ以降、声の主が何か言ってくる事はなかった…。


 

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