夜空に消えた光・譲れない想い

□偶然が重なった奇跡
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「……」


 俺は……何処へ向かうのだろう…。
 周囲は濃い霧で覆われ、ほとんど何も見えない。そんな中、俺の足はただひたすら前だけに足取りを進めていた…。


「……」


 傍らに何か重そうな物体を感じた。横目で見るとそれは墓だった。それも一基や二基ではなく何基も…。
 しばらくは同じ光景が続いた…。


「……」


 歩き続けていた足がピタリと止まった。墓の他に何かあるのかと見上げると一本の桜の木が見えた。花の色は紫色。変わった色だなと思った…。


「……」


 風に揺らされたのだろうか。紫色の桜は呆気なく散っていった。その散り行く花びら一枚一枚が自分の生き様を表しているようにも感じられた…。



「……」



 俺の足はそんな寂しくなった桜の木も通り越し……霧の中へと消えていった…。

  
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