始まり

□優也vs魔理沙 遊びでも負けられない!
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けるなーー……


 弾幕を避け続けている俺の耳に、チルノと大ちゃんの応援している声が聞こえてきた。魔理沙にもその声が届いたのか、弾幕を放つのをピタリと止める。

「へえ〜、やっぱお前らって仲が良いんだな」
「二人に出会ったのは昨日だけど、もう親友って言えるほど仲が良いよ」
「チルノも普通に親友か?」
「? ああ、普通にそうだが…」

 魔理沙は突然何を言ってんだコイツみたいな視線を向けてくる。俺は特に間違えた事は言ってないのだが…。

「な、何かおかしなこと言った?」
「いや、何でもないぜ。鈍感って事が良く分かっただけだ…」
「?」
「……それで、どう私にダメージを与えるんだぜ? さっきから避けてばっかだし、見る感じだと飛べさえもしないし」
「それに関してはもう考えてるよ」

 今の今まで魔理沙の動きに引っ掛け回された感はある。このままじゃじり貧だ。賭けにはなるが、そろそろ行動に移す時だろう。
 俺は周辺を一瞥する。

「ふふっ、面白いぜ! やってみろ!」

 魔理沙は横に平行移動しながら弾幕を放ってきた。俺が避けている間、また後ろに回り込む魂胆だろう。

(なら!)

 ここは強引にでも向かうべきだ。凄い窮屈で途中右肩に一発弾幕が被弾してしまったが、俺は走りながら本日二本目、最後のナイフを魔理沙に投げ付けた。魔理沙はそこまで警戒はしてなかったので、これなら当たる事もあり得ると思えた。

「!? っぶな!!」

 だが、ナイフは無情にも魔理沙の左脇を通過していく…。

「今のは危なかったぜ! だが、これでお前に遠距離攻撃はない! 私の勝ちだぜ!」

 勝利を核心したように魔理沙は俺に接近してきた。確かに俺の手持ちにもう投げられる物はない。


 ……けど!


「落ちてる物なら使えるんだよ!」

 俺はそばに落ちてあった石を拾い上げ、魔理沙に向けて投げ付けた。そして、大声で叫ぶ。

「一つでもダメージを与えられたら俺の勝ち、だったなっ!!」
「な、何!?」

 もう遠距離攻撃はないと確信していた魔理沙は慌ててそれを回避するが、接近した勢いもあったためかバランスを崩し箒から転げ落ちた。「へぶっ」と痛そうな声を上げる。

「いててて……ほ、箒は!?」
「ここにあるぜ」

 既に魔理沙が落とした箒の場所へと移動しており、それを片手に握り締めている。これも概ね計算通りである。

「……お前の作戦ってこういう事か」
「ああ、お前に遠距離攻撃はないと思わせる。それが俺の作戦だ」

 チルノの時の挑発でも良かったが、魔理沙はそれに乗ってくれないと考えたのでこっちの作戦した。ちなみにさっき周囲を確認したのは、石が落ちてある場所を探していたのだ。そこからここまで逆算できたのはある意味運が良かったのかもしれない。

「それと悪いな。石の武器提示はしてなくて」
「え?」
「つまり、仮に当たっても大丈夫だってこと」
「あっ!」

 魔理沙はしまったという顔を浮かべる。さっきの魔理沙は別に慌てて避ける必要はなかったのだ。それでもそうさせたのは、石を投げた後に言ったあの言葉だ。負けを恐れた時に出る過剰反応ってやつかな?

「まあ、魔理沙が突っ込んでなきゃ引っかかってなかっただろうけど」
「くそ〜……お前バカだけど、そういう事に関しては頭が良いな。箒はなくても飛べるけど、早くは移動できなくなったぜ…」

 魔理沙は頭を掻き毟りながら、懐から"何か"を取り出した。八角形の木箱のような物だ。彼女はそれを俺向けて構え、得意げにニヤリと笑う。

「まさか私がスペカを使うとは思わなかったぜ…」
「へ、へえ、それはスペカと応用して使うものですか…?」
「そう、ミニ八卦炉(はっけろ)だ。そして、私がこれから発動させるスペルカードは……恋符「マスタースパーク」だぜ!!」

(マスタースパーク……何かめちゃくちゃ嫌な予感が…)
 
 俺は箒をその場に置き、後ろに大きく下がる。その予感は的中しそうで、その八卦炉にエネルギーが溜まり始めていた。……これはむしろ逃げた方が良い?

「逃げても無駄だぜ。この攻撃範囲とスピードは、お前が飛べさえしない限りかわせない!」
「ま、マジかよ!?」
「仮に飛べても無理だど思うけどな。だから、覚悟するんだぜっ!」

 魔理沙は勝ち誇った表情を浮かべていた。余程このスペルカードに自信を持っているのだろう。流石にこれは無理かと俺も諦めそうになる…。


「ユーーヤーー!! ガンバレーーー!!!」


 けど、そんな考えは一瞬で吹き飛んだ。絶対に勝てってチルノに言われたんだ。了解した俺がそれを簡単に諦めるわけにはいかない!
 でも、何か方法があるのだろうか? 魔理沙との距離は俺が下がってしまった事もあって30メートルほど。近づいて合気道では間に合わない…。

「……ん? そういえばポケットが冷たいな?」

 俺はチルノから貰った白紙のスペルカードをずっとポケットに入れていたが、「冷たい」という感じはなかった。一体何だと俺は急いでそれを取り出してみる。
 すると、そこには白紙ではなく……黒いふと字で技名が書かれていた!

「恋符『マスタースパーク』!!」

 視界一面がいきなり白に変わる。技名を確認して間もなく、巨大なレーザーが俺に迫ってきた!   

(こ、こうなりゃ出たとこ勝負だっ!)

「流符! 『コールドウェーブ』!!」







ドガアアアァァァ!!






 
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