夜空に消えた光・譲れない想い

□無意識って怖い!
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「えー……「恋は━━」
「うにゅっ、昇天!!」
「盲点! てか、さとり様があげたカルタはことわざカルタですか…」

 食事し終えた後、前の部屋に戻った私たちは、空さんの提案で今はカルタ取りをしている。横一線の状況になると思われたが、予想外にも空さんが一番強く、全体の八割のカルタが今や空さんの支柱にある。

「「五十歩━━」
「千歩!!」
「百歩! 千歩って距離に大差がありすぎだよ!」

 さとりさんが読み切る前に空さんが反応するため、私含め、他の人たちもほとんど対応できない。また、取る際にバンッと強く叩き付けるため、カルタの方は(ほぼ全員)半ば諦めていた。
 一方、それと外れて……


「「……」」


 あの二人はカルタすら目に入ってなさそうである…。
 そっぽを向き続けている二人は現在最悪の険悪ムード。お互いに距離を取り、目も合わそうとしない。意識してるのが分かるようなふくれっ面でもあった。

「もう……二人とも意地っ張りなんだから…」

 喧嘩するほど仲が良いとは言いますが、流石に気が滅入って来ちゃいます。二人とも素直になれば良いのに…。

「まったくウサね。ここまでやられると大ちゃんの苦労が分かるウサ」
「……その原因を一つ作ったてゐちゃんが言わないでくれるかな?」

 私の呟きが聞こえたのか、隣に居たてゐちゃんが笑顔で話しかけてくる。既に反省の色も見せてない態度だったので流石の私もイラッと来た。

「ゴメンゴメン。お詫びに仲直りできる新たな案を考えたウサ」
「どうせまた裏があるんだよね? もう騙されないよ」
「ないない。今回に至っては裏も作れないウサ」
「……作れない?」
「正確には私一人が二人をコントロールする事はできない」
「どういう事?」
「つまり、人選にもよるって事ウサ。えーっと……リグル、みすちー、キスメ、幽々子。ちょっとこっちに集まってくれウサ」

 意味が理解できてない私を尻目に、てゐちゃんは比較的近くで座っていた四人を呼ぶ。四人は不思議そうな表情を浮かべながらも、ゆっくりと私とてゐちゃんの近くに集まってきた。

「実はこの五人に協力してほしい事があるウサ」
「五人って私も入ってるの!? 私はもう━━」
「話を聞いた上で納得できないなら、大ちゃんはカウントはしないウサよ。まずはみんな。私の話を聞いてくれウサ…」

 話す声を低め、てゐちゃんは静かに語り出した…。





「………って事ウサ」

 話し終えた後、てゐちゃんはどうだと言わんばかりの表情で私を見る。
 なるほど……さっきのてゐちゃんの言葉はそういう事か。確かにこれでは裏も作れそうにない…。

「とすると、全員参加したとして成功は半分くらいだね…」
「うんうん。ある意味では運ね♪」
「私たち以外にも言った方が良いんじゃない?」
「うん。多い方が良いと思う…」
「いや、そんなしょっちゅう二人に当たるようになったら、チルノはともかく優也は感づくウサ。ここは少数人数で動くのが得策ウサ」
「「「な、なるほど…」」」

 てゐちゃんの説明に納得させられるリグルちゃんにみすちーちゃん、キスメちゃん。正直、私も納得されかけていた…。

「ただ、リグルが伝え損ねたらその時点で終わりだウサ。本当に大丈夫ウサか?」
「だ、大丈夫だよ! みんなには上手く伝えるから!」
「う〜ん……でも、リグルってちょっと強引な所があるからなぁ…」
「私と戦った時もそうだった。繊細な所が見えない…」
「私、リグルちゃんの事は何も知らないからふあ〜ん♪」

「何かみんな酷くない!? 絶対に大丈夫だよーっ!」
「ウッサッサ♪ まあ、期待しないで待っているウサ♪」

「……」

 でも、私はまだ何か引っかかる。既に協力を協定してる四人を余所に、どうしても引っ掛かりが抜けなかった。無理な状況だからこそ悪戯をするのがてゐちゃんの真骨頂ではないのだろうか? それを簡単にできないと決めつけるなんて…。

「それで大ちゃんはどうするウサ?」
「……本当に悪戯はしないんだね?」
「んふふ、信用ないんだね〜。これも二人のためウサよ♪」
「そう言って、見事に騙してくれたのは何処の誰かな?」
「それは謝るウサ。でも、優也を意識させる方は成功してるウサよ?」
「あっ…」

 そ、そういえば、チルノちゃんに対して少し意識してたような…。

「い、いやっ! でも!」

「うにゅ〜、私が圧倒的でつまんないな〜」

「というわけで大ちゃんも参加ウサね♪ 
 みんな〜〜! 今度はこのゲームで遊ぶウサよ〜〜!」
「ま、待って、てゐち━━」



「王様だ〜れだ? 王様ゲームウサ〜♪」

 
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