始まり

□寺子屋にて
1ページ/4ページ

「じゃあなー。気をつけて行けよー」


 チルノとの話を終え、私は改めて優也たちの見送りに混ざる。三人は私たちに手を振りながら階段を下りて行き、やがて視界から消えていった…。

(チルノの奴……上手くいけば良いな…)

「魔理沙。あんたの話が聞こえたんだけど、あんたの言葉、恋愛”している”または”していた”ように聞こえたわ」
「げっ! 聞こえてたのかよ!?」

 人の耳にはまず入らないであろう距離だったので、私は仰天してしまった。チルノの大きかった声ならまだしも、霊夢は普通に話してた私の声まで聞こえてたのだ。

「まあね。他の二人には聞こえてなかったみたいだったけど、私には充分聞こえてたわよ」
「お前、ホントに人間か?」
「失礼ね。私を何だと思ってるのよ」
「……人間かな?」
「何で疑問系なのよ?」

 ホントは人間の皮を被った何かと思ってるが、口に出したら弾幕が帰ってきそうなので人間で留めとく。正直に言えば、霊夢を人間だって思った事はほとんどない。異変解決のため、邪魔する敵をバッサバッサと叩きのめし高笑いしてたのは記憶に新しい。

「それで恋愛の方はどうなのよ?」
「まあ……その通りだぜ。私の場合”していた”なんだけどな」

 私は苦笑いしながらそれに同意する。
 霊夢に会う前だからもう昔の話になる。私がチルノを応援したくなったのも、あの時の私になってほしくなかったからかもな…。

「ふ〜ん」
「……詳しく聞かないのか?」
「私、そういうのに興味ないから。あるのはお金の情報だけよ」
「じゃあ、何で聞いたんだよ…」
「恋愛しているの方なら、式の予約をさせようと思ったのよ」
「もうコイツ最悪だぜ…」
 
 私はため息を吐き、何となく空を見上げる。そして、ふとこんな事を思うのだった。


(あいつに、もう一度だけ会えたらな…)




 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ