動き始める時・伝染する負の感情

□立ち向かう者達
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「おっ、そろそろ着くぜ」


 そんなこんなな会話をしていると、神社を表す鳥居が見えてきた。段々とそれは大きくなり、やがてそれを通り越して、神社敷地内の真上に……博麗神社に到着した。



「……誰か居るみたいだな」

 どうやら先客が多く居るらしく、魔理沙はその地点へ着地し、その人物たちを見回す。

「えっと……アリス、萃香、勇儀、リグル、ミスティア、妖夢、幽々子か。これは何とも言えないメンツで…」
「あら、魔理沙。優也とチルノも、無事だったのね?」

 着いたばかりの俺たちに反応したアリスが声をかけてくる。

「そういうアリスは……大変だったのぜ?」
「まあね」

 アリスは肩をすくめる。この事態のいざこざに巻き込まれたのか、アリスの衣服類が汚れていた。ただ、大した怪我はなさそうだった。

「あっ、優也にチルノ! た、助け…あの人に食べられるー!!」
「ミスティア?」

 アリスと同じように、ミスティアも俺たちを見て……助けを求めている?

「どうしたん━━」
「逃げちゃだめよ〜♪ 焼き鳥にして食べるんだから〜♪」
「ひいいぃ!!」

 少し遠くから、ミスティアの恐れてる人物がやってくる。
 少しウェーブがかかった桃色の髪に、少し変わった帽子を被ってる女の人だ。おっとりとした独特の雰囲気を放っていて、とてもそんな物騒な事をする人には見えない…。

「こんな緊急時なのに……幽々子は本当にマイペースだぜ…」

 魔理沙は苦笑いしながら言う。どうやら、幽々子という名前らしい。

「えっと……種族は?」
「亡霊。幽霊じゃないぜ、亡霊だぜ」
「いや、何で二回…」
「何となく。後、見た目以上の大食い。ミスティアとは前前前前前回にあった異変で遭遇しちまったらしく、それ以降こういうやり取りだ」
「ずいぶん前なんだな…」
「みすちー、ガンバレー」

「ちょ、ちょっと!? この三人の中でも良いから助け━━」
「食べさせてー♪」
「ギャアアア!!」

 一方は逃げ始め、一方は追いかけ始める。
 うん。助けてあげたいのは山々だけど、標準を変えられるのは何か怖い。

「幽々子様! 今はそんな事をしてる場合じゃありません!」

 そんな時、止めようと試みる者が現れる。
 白髪のおかっぱ頭に、カチューシャ気味の黒いリボン。そして、腰には二本の刀が付いていた。考えたくもないが、武器は間違いなくアレ(刀)だろう。
 
「何よ〜、妖夢のケチ」
「ケチとかそういう問題じゃないです!」
「む〜、本当に真面目子さんね〜。シワが増えるわよ〜」
「余計なお世話です!」

 その人は幽々子さんを叱るが、文句で返されてた。見た感じ、何か苦労しそうな人だなーと感じる。

(てか、あの人どこかで…)

「……あっ、昨日のお手伝いさんか」
「違います! あの時は強制的に手伝われただけです!」
「そっ、そうですか。すみません…」

 俺の呟きが聞こえたのか、俺に照準を変えて突っ込んできた。さっきまであの人を叱っていたのに、あまりの切り替えの早さに驚きを隠せない…。

「分かれば良いんです。もう、あの巫女には大変な目に……」
「そ、それは何?」
「それだからお金も……え? コレですか?」

 とりあえず、話題を彼女の周りを浮いている白い球に向けた。彼女が近くに来て、初めて気づいたものだ。

「これは半霊と言いまして、私の体の一部みたいなものです」
「え? 人じゃないの?」
「そういえば、自己紹介がまだでしたね。
 私は魂魄妖夢(こんぱくようむ)、妖夢って呼んでください。種族は半人半霊……幽霊と人間のハーフです」

 そんな種族もあるのか。いや、あるんだろうな。幻想郷だから…。

「俺は━━」
「赤池優也、外来人ですよね」
「……こっちも優也でかまわない」

 俺の紹介を遮り、先に言ってきた妖夢。
 多分、昨日の大会か、新聞で知ったんだろうけど……自己紹介くらいさせて…。

「後、あそこで追っかけているのは、私の主の西行寺幽々子(さいじょうじゆゆこ)様で……って、いい加減にしてください、幽々子様!!」

「ま〜て〜♪」
「助けてーーー!!!」

 そして、あの人の従者だったのか…。




 
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