豆腐
□今日も君に恋をする
1ページ/1ページ
「…う、っう」
僕の胸で泣いているゆう。
でもそれは僕のために流した涙ではない。
「大丈夫。きっともっといい人がいるから。」
子供の時からの付き合いの僕たちは、まるで兄弟のように仲が良かった。
でも、関係はそこまで。
友達以上の関係なんて考えてもみなかった。
いつもこうやって僕じゃない誰かに告白して、うまくいかなくて、僕の胸に泣きにくる。
それがいつもだった。
僕も何も思わなかったし、ゆうとも友達以上の関係なんて求めたことなかった。
中学までは。
......
中学3年のとき_
この日もゆうが好きな人に告白するときだった。
中学最後だから、告白して高校生活楽しむんだってはりきって出て行ったのに。
僕は帰ってきたゆうの姿をみて一目でわかった。
「ゆう、おいで。」
ゆっくりと近づき抱きしめると、さっきまでの自信はまるでなく体は小刻みに震えていた。
つらかったんだな。
いつもだったらそう思うだけなのに。
なぜかこの日は僕の胸も無性に傷んだ。
震えるゆうを見てるとつらくて、守ってやりたいと思っていた。
今までなかった感情がその時初めて芽生えた。
「ゆう…」
あれから3年。
高校になって、ゆうにも彼氏ができた。
でも、長続きはしないことが多くてそのたびに僕のもとへ泣きにきた。
3年経った今でも、僕は何も変わらずこうして君を抱いて慰めることしかできない。
この関係が壊れるのが怖くて言い出せないまま時が過ぎてきた。
でもいつかきっと伝えて、
今度は僕のもとに泣きにくるんじゃなくて
笑顔の君にしてみせるよ。
End.