薄桜鬼
□愛しの彼
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幕末。
とある橋で逢い引きが行われていた。
その橋のところには、漆黒の髪をたなびかせている人間がいる。
ジャリ
そんな音が聞こえた瞬間、漆黒の髪をたなびかせている人間はその音のもとに振り向いた。
「待たせたな、土方」
その人物は金色の髪にルビーのような目をしていた。
「よぉ風間」
「どうしたんだ?こんなとこに呼び出して」
そう
もう皆が寝静まったころだ。
確かに逢い引きをするには少しばかり場所、時間ともおかしいが
「土方、お前に来て欲しいのだ、風間の里に」
「それは俺が風間の…なんつうんだ…」
暗いせいでよく分からないが、今土方の顔は真っ赤なんだろうと分かる。
「土方、嫁に来い」
その言葉に土方は目を見開いた。
「俺は男だぞ、それにどうした、風間らしくねぇぞ」
その言葉に風間は肩を震わせた。
「何か、あったのか」
「…貴様が…死ぬ夢を見た…」
「……はぁ?」
それは土方には大したことがない。
だが風間は違うのだ。
自分とは違う。
人間は鬼と違い、簡単に死ぬ。