ILY 日常篇

□009
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隊服で街を歩く私とトシと総悟。

トシと総悟の手にはバケツが持たれていて、
その中には、
うちの隊士達が必死に書いただろう、
近藤さんをやった銀髪の侍へのメッセージ。
いわゆる、報復をしようと。


街の至る所に貼られたその張り紙を剥がして行く。



土方「こんな事して、近藤さんが負けた事街に知らしてるだけじゃねーか。
この銀髪の侍見つけたら、たたっ斬ってやらァ」


総悟「土方さんは二言目には斬るで困りまさァ。
第一、暗殺で大事を成した人なんかいませんぜ。」


土方「だれが暗殺なんざマネするか。
正面から行ってやらァ。」



ギラギラと闘志に燃えるこの瞳、
ジーっと見ていたら、
二人に気付かれたらしい。



土方「どうかしたか?」
総悟「どうかしやしたかィ?」


『ん、いや、トシってかっこいいよな。』



何気無く呟いた一言に二人はピキッと固まって、
トシは頬を赤く染めて、
総悟はとしを睨みつけて。



『どうかしたか?2人とも。』


総悟「土方コノヤロー!!!
ぜってェ許さねェ!!」


土方「お、おい、ちょっと待てや!」



前を走る彼らを見て意味がわからなかった。
2人を歩いて追いかけて居ると、
ガラガラ、ガッチャン
と言う重い金属の音がした。

急いで走って行くと、
総悟と銀髪の侍それに突っかかるトシがいた。



その銀髪の侍の後ろ姿は見覚えがあって、
近づくと彼の声も聞こえてくる。
あぁ、居た。
大事な彼が。



『ぎん、と、き』



口に出すのが精一杯だった。
小さなその声に振り向いてくれたのは、
他でもない銀時だった。



『銀時、か?』


銀時「アオイッッ!」



一目散に私の所まで来て、
銀時が抱き締めてくれた。

あの頃と変わらない、その甘い香りのする身体で。
あの頃と変わらない、その暖かい身体で。

もう、血の臭いは当たり前だけどしなくて、
凄く凄く安心した。



銀時「なに?真選組で働いてんの?」



ビクリと肩が震えた。
銀時たちからしたら幕府は憎き相手で、
そんな所で働いているなんて……。



銀時「はは、大丈夫だって。
怒んねーよ、楽しいか、仕事?」


『うん、楽しい。
いい人ばかりだしな。』


銀時「そっか、良かったな。」



そう言って優しく笑って、
私の頭をわしゃわしゃと撫でた。



土方「オイ、テメェ銀髪。
アオイから離れろや!」


銀時「えー何ー?
もしかして多串くんヤキモチ妬いちゃったの?」


土方「ヤキモチじゃねーよ!
てか多串くんじゃねぇっ!」



それから、銀時とトシの言い合いが始まって、
その流れで近藤さんをやったのはおまえかっ?ってなって、
喧嘩が始まった。



総悟に手を引っ張られて、
着いたのは隣の家の屋根の上。
目の前で銀時トシの攻防が。
ーーああ、やっぱり銀時だ。



『っ!』



銀時の肩がトシに斬られたとき、
思わず立ち上がったら、
総悟に手を引っ張られて座らされた。



総悟「アオイさんはあの銀髪の侍知ってるんですィ?」


『ああ、知ってる。
随分会ってなかったがな。』



そうですかィとどこか悲し気な総悟が隣に居た。



『どうかしたか?』


総悟「いえ、何でも無いでさァ。
(いい雰囲気の2人を見て嫉妬したなんて言えねェや……)」


『そうか。』



よく分からない。
こういう時、読心術があればとか切実に思う。



『終わった、か。
ちょっと行ってくる。』



腰をあげその場から離れ、
銀時の所へ向かった。



総悟「負けたくねェや。」



なんて総悟が言ってるなんて露知らず。









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