ILY 日常篇

□022
1ページ/1ページ





なんだあれ、あんな銀時知らない。
いつもちゃらんぽらんなのに、今日の銀時は…か、かっこよくて……ドキドキした。
どうしよう、顔が熱い。




万事屋から急いで出て来たアオイはその顔をほんのり赤く染
めていた。
休日ということでパトカーには乗れずに歩いて来た。
だから、赤い顔を見られないように俯きながらトボトボ歩いていた。







「アオイさん、おはようございまさァ。」


『あ、総悟、おはよう。』



後ろからパトカーがやってきてアオイの横で止まった。
その車はサボリ魔沖田総悟が運転していて、アオイの顔を見ると嬉しそうに目尻を細めた。

アオイが起きた頃にはもう総悟は見回りに出ていたから今日二人が顔を会わすのは今がはじめて。
と、言いたいところだが実は総悟が見回りに出る前にアオイの部屋によって寝顔を見に来ていた。





 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「アオイさーん、おはようございまさァ。
って、あれ?寝てやすか?」



今日はアオイさんは休み。
俺は仕事で土方さんに見回りに早く行けと怒られたから、見回りに行く前にアオイさんに会いに来たのだけど、まだ寝ていた。

アオイさんは低血圧で朝が苦手らしいけど、それでもいつもちゃんと朝メシの時間には起きてた。
でも、今日はぐっすり寝ている。
か、可愛いんだけど……!!

いつもはクールな感じの印象だけど寝姿は可愛い。
軽く握られた小せェ手だとか、ほんのり赤い頬だとか、少し開かれた唇とか。
全部全部可愛い。

どんだけ惚れてんだって話だけど。
アオイさんと俺は年が離れてて、しかも俺の方が年下。
きっとアオイさんは俺のことオトウト位にしか思って無ぇんだろうけど、俺はずっとアオイさんが好きだった。

近藤さんに連れられて俺らの前にやって来たあの時から。
一目惚れだった。

オンナなんてみんな同じでみんな雌豚な筈なのにアオイさんだけはそんな扱いできなかった。
それどころか、アオイさんには俺がドSだという事も知られたく無かった。
ま、知られてるんだろうけど。



「アオイさん、たまの休みなんですからゆっくり休んでくだせェ。
じゃ、ちょっくら見回りにでも行って来やす。」



そう言って総悟はアオイの髪に指を優しく絡めながら頭を撫でて部屋を出て行った。
その顔は愛しさに溢れていたとか。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



「アオイさん、顔が赤いですぜィ?
どうかしやしたかィ?」


『え、あ、なんでもないんだ!
それより総悟は見回りか?』


「へい、見回り終わって今から屯所に戻りやす。
アオイさんも乗りますかィ?」


『ああ、じゃあ乗らしてもらうよ。
運転よろしく。』




俺の隣に座るアオイさん。
いつもは隊服に白衣を着ているアオイさんだけど、休日はもちろん違う。
私服だ。
アオイさんの私服は問題大有り。
簡単に言えば……エロい。
俺だって年頃の男だ、そんな事も気になる、仕方ない。


隊服でもきっちり着ない人だけど、私服になると隊服の時と比じゃないくらいだ。
前をきっちり合わせるのはダルイとかエライとかでだらーんと開いてんだけど、言っておこう!
アオイさんは大人のオンナだ!!!
そして、アレもデカい。

好きでもないオンナのソレなら
「汚ねぇモン見せてんじゃねぇよ」
くらい言えるんだけど好きな人のソレだ。
俺だって健全なオトコノコだし、気になる。

近藤さんは顔を赤くして
「アオイちゃん、ちゃんと閉めてェェエエエ!!!」
なんざ騒いでるけど俺としてはありがたい。

ただ、他のオトコに見られてるってのが気に食わねぇ。
キモオタ共がアオイさんをみてハァハァしてるって考えただけでこの腰に挿さってるブツで斬ってやりてェ。

アオイさんは自分の魅力に気付いてなさすぎる。
だから、こんな格好ができるんだ。




『……ーーご、総悟っ。』


「え?あ、すいやせん、どうかしやしたかィ?」


『あのな、私から貰っても嬉しく無いかもしれないけど、お妙と神楽に今年は作ってみたらっ?って言われたんだ。
だから、作ったんだけど、いらなかったら他のヤツらにあげてくれればいいから。』




タイミング良く信号が赤になって、アオイさんから渡されたのは透明な袋で中には美味しそうなお菓子がはいってた。
袋の結び目には手紙がひっついてて、今すぐ見ようとしたらアオイさんが慌てて
『と、屯所で読んでくれ!』
と必死にとめた。




「アオイさん、ありがとうございやす。
大事に食べやすねィ。」


『あぁ。』



窓の外にぎこちなく視線を向けるアオイさんが可愛かった。







“総悟へ

バレンタインというものに参加してみました。
お菓子を作るのは初めてだったから、うまく作れたか分からないけど食べてみてくれると嬉しいです。

私を仲間にしてくれてありがとう。
これからもよろしくな。

ここぞって時はしっかりする総悟が私は大好きです。
これからも頑張ってください。

アオイより”



…………ちょっとォォオ!!
だ、大好きって!!大好きってアオイさんが!!
うぁ、やべぇ照れる、どうしよう。

わ、わかってる。
アオイさんはそういうつもりじゃ無いって事くらい。
でも!でも、大好きな人からバレンタインチョコ貰えて、しかもこんな嬉しい手紙まで!


この日総悟はいつもより仕事を頑張ったとか。
総悟の警察手帳にはいつ撮ったかアオイの写真にくわえ、この手紙も仲間入りして挟まっているとか。




.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ