黒バス

□はぴぃば?
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長い長い夏休みも


残り数日となった



否。8月も終わりを告げる今日―――…



8月31日は

帝光中バスケ部のエース青峰大輝と
その姉青峰紗希の誕生日だった








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―――――――





ミンミン、と嫌になるほどのセミの音と

いくら窓を開けていようと室内で30を超える気温の中
激しい練習を行う部員がたくさんいるこの体育館だ

なにもしていなくても汗をかく


中学初めての夏休み

部活生の夏休みというものが楽しみだった紗希

けれどさすがは名門帝光中

夏休みの大半は練習に消えてしまった


けれどそんな毎日がとても楽しかった


部活をして、遊んで…

そんな日々の繰り返しもそろそろ終わりを告げる

いまだに終わっていない宿題の量を思い出し苦笑いを浮かべると
次に浮かんでくるのは今そこで練習している弟のこと

そういえば大ちゃんは宿題しているのだろうか…



ドリンクの本数を数えながら不意に思った




―――――――
――――


「紗希!」

「?どうしたの?」

「あのさ!明日、暇かな?」

「明日?んー…特に用事はないかなぁ…あ、でも大ちゃんの宿題見てあげないと、絶対終わってないよ…!」

「ぁー…うん、わかった、とりあえず暇なんだね?」

「うん。とりあえずは」

「そっか、じゃあ明日うちに遊びに来ない?」

「え、いいの?」

「うん、明日親いないからさぁー」




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―――――――



「ねぇテツ…」

「大丈夫です。誘えました」

「よし!さすが!」

「澪さんは…」

「私を誰だと思ってるの!?」

「ですよね」



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―――――



「ねぇ、大ちゃん、私明日澪ちゃんの家に遊びに行くから」

「おー奇遇だな俺もテツん家行って勉強すんだよ」

「おぉー!大ちゃんから進んで勉強するなんて!」

「うっせー提出しねーと部活できねーんだよ」

「そうだねー、頑張ってね」

「おう、任せろ」

「うん、任せた。

 ――――――ぁ、そうだ、大ちゃん
 今年は何が良い?」

「あーそーだなー…紗希は?」

「んー…あ、本が良いな!」

「本ー?」

「うん。この前面白そうなの見つけたの!」

「へー」

「うん、大ちゃんは?」

「おれかぁー?…やっぱバスケットバール」

「     」

―――――――――――
―――――――



機械音が小さく鳴り響き、確認すると

新着メールの知らせで

差出人は白川澪からだった

内容は…

12時に私の家に集合



微妙な時間に集合だなぁー…

と髪を乾かしつつ思った


―――――――――
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翌日。


8月31日。晴天

うん、今日も暑そうだな、と思いつつも

自分たちの誕生日が晴れていると、少しばかり嬉しくなる


澪ちゃんとの約束にはまだまだ時間はあるから

昨日の帰りに大ちゃんと話したプレゼントを買いに行こうと思い
お気に入りのワンピースに袖を通し

用意をすませ少し高いヒールを履き

コツコツ、と音を響かせながら歩いた



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今日、8月31日は

最近できたとても仲がいい友達…

青峰紗希とその弟大輝の誕生日だった



それを聞いたのはちょうど3日前で
もう一人の友達桃井さつきちゃんから聞いた


なんでもっと早くに教えてくれなかったのか、少しばかり悲しいが

友達の誕生日は祝わないとおかしいので

ケーキを作ることに


と、いっても1からじゃないから

私はどうも分量を量るのが苦手で、お菓子はあまり得意じゃない

なので生地は市販に売っているものをつかうことにした

けれど、それでも失敗するかも…ということで
幼馴染のテツ人気のスイーツ店でケーキを買い

サプライズでお祝いをしようと計画を立てた

お菓子とか久しぶりだから失敗するかも…

でも心だけは込めよう!とエプロンの紐をしめなおした



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――――――



自分の不器用さにびっくりだ

生地は市販のものを使ったのに、1時間もかかってしまった…


まぁ、でも、想像していたよりはいいものだと思う


生クリームはちょうどいい甘さだったし



出来上がったケーキを写真に収め
幼馴染に写メールを送る


すぐに幼馴染から返事がきた


「澪さんにしては上出来です、って、ゆで卵しか作れない奴が…!」



さぁ、もうひと頑張り、しましょうか


―――――――――
―――――


もうそろそろ約束の時間に近づく


片付けを始め、終わった頃には後10分で約束の時間だった

テツにメールを送り
一通りの準備が終わり一息ついていると
インターフォンが鳴る


予想しなくても誰か、なんてただ一人



「紗希、いらっしゃい」

「うん、お邪魔します」

「ふふ、誰も居ないのに」

「だ、ダメだよ!ちゃんと挨拶しないといけません!てさっちゃんに言われてるの!」

「お母さんじゃないんだ」

うーん、そろそろ来るかなぁー
とか思ってたらまたもインターフォンが鳴る


「澪ちゃん、お客さん?」

「や、テツだよ、多分」


扉を開けるとやはり予想していた通り
テツと状況がわかってないからか
少し間抜けな表情の青峰くんだった

「いらっしゃいテツ、青峰くん」

「はい、ちゃんと連れて来ました」

「うん、ありがとう」

「え、え?ちょ、ちょっと待って?どういうこと!?」

「え?だって紗希達、今日誕生日でしょ?」

「ー、え?なんで知ってるの?」

「桃ちゃんから聞いた」

「あ、そっか…」

幼馴染の名を聞いて漸く理解できたようだった

「さ、早く上がって!」

「お邪魔します」




リビングに案内すると机に置かれた料理に驚く


「え、コレ澪ちゃんが一人で作ったの?」

「え?まぁ、料理好きだし」

「す、スゴいねー、大ちゃん!」

「ああ、紗希はお菓子は作りきるけど料理はな」

さつきは…と言葉を濁して続けるのをやめた

まぁ、桃ちゃんはね?アレは…


「ま、まぁ座ってよ!早く食べよ?」

「うん!」



たくさん作っていたけれどさすが男の子だいっぱい食べるから残るかな、
と少し心配していたが大丈夫なようだ


――――――
―――


軽く平らげてしまい
今は後片付けをしている

紗希に手伝ってもらっている…
いや、実際は勝手に紗希が手伝っている

手伝わなくていい、っていっても
いいからいいからの一点張り
それに負けた私は今こうして2人でお皿を拭いていた



「…澪ちゃん、今日、ありがとね」

「?当たり前でしょ?友達なんだから」

「!うん、ありがとう!澪ちゃん!」



―――――――――――
―――――――
―――

それから何時間も澪の家で遊んで
そろそろ帰らないと大ちゃんの宿題が危ういので
名残惜しいが澪と黒子くんに別れを告げた



「…あ、大ちゃん」

「なんだ?」

「ん、コレ、誕生日おめでとう!」

「あぁ…さんきゅ」

「うん」

「ぁー…紗希、今から本屋行くか」

それは素直じゃない弟の祝いの言葉で

「うん!ありがとう大ちゃん!」



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―――――
――


はっぴーばーすでい!




来年も楽しみだな!
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