黒バス

□黒子討論会
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「はい!第一回!黒子テツヤ討論会を行います!!」



黒子のいないこの部室で突然声をあげた
黒子の幼馴染である澪



「おぉー!なんか楽しそう!」

とパチパチ拍手を送る紗希


「え、何!?もしかして澪ちゃんテツくんのこと…!?」


「違うから」



桃井の言葉を遮るように否定する澪


「…それで、何がしたいのだよ」


緑間の呆れたような声に澪は


「んーとね、テツについて語ろうと思って」


なんとなくそう思っただけ

だから理由なんてないよ


笑いながら答えた

桃井は大いに賛成した

そして面白そうだと青峰姉弟も賛成した

黄瀬もまるで犬を連想させる程に賛成した



「よし!それじゃあまずはテツの良いとこを発表しようじゃないか!!」


澪の言葉に勢い良く手を上げ


意気揚々と語り始めたのは桃井だった


「テツくんはね!ギャップよ!
普段はあんななのにバスケになると
別人みたいになっちゃうとことか!」


「あーそれはわかる!普段すごく優しいもんね!」


「紗希、それちょっと話ズレてる」


「はい、まずはテツはギャップ萌え…っと」


どこから出てきたのかホワイトボードにキュッキュと文字を書き込んだ



「はい、次!」


「はいはい!」


元気に右手をピシっ!と上げて主張するのは青峰の姉、紗希


「はい、紗希」


「はい!この前黒子くんに荷物を持ってもらいました!」


「ほうほう」


「後ね!こけそうになったのを助けてもらいました!」


「さすがテツくん!」


「後ね!マジバでね!先に買いに行っていいよって!」


「ほうほう…つまりテツは紳士なのか?」


「キャー!テツくんが紳士!良いっ…!」


澪の言葉に何を想像したのか桃井は倒れこんだ



「ちょ、桃っち大丈夫っスか!?」


「ほっとけよ黄瀬」


「はいっ、じゃあテツは紳士…っと」


キュッキュ、とギャップ萌えの隣に


紳士を追加した



「はいじゃあ次ー」


「…黒子は良く本を読んでいるな」


静かに発言したのは左手にサボテンを持っている緑間真太郎だった


「そうだね、基本いつも本読んでるね」


「ってかアイツ本読んでるかバスケしてるよな」



青峰の言葉に皆同意した


「つか黒子っちって読書とバスケ以外になんかしてるんスか?」


黄瀬の言葉に皆、普段の黒子の様子を思い出すが


特に何も思いつかない


「マジバのシェイク飲んでるじゃん」


ポリポリとお菓子を食べながら紫原がやる気のない声でそういえば


一斉に紫原を見る


「ナイス紫原!」


「全然思いつかなかったっス!」


「テツくんカッコいい…!」


「あ、さっちゃんが復活した」



澪は黙ってホワイトボードに


マジバのシェイク好きと書き込んだ


「…黒子の事なら幼馴染である澪が一番知ってるんじゃないのか?」


今まで黙って話を聞いていた赤司が突然声を上げた


そして、何故忘れていた!とでも言うかのような顔をして澪を見た


「え?私?」


当の澪はまさか主催者の自分の名が上がるとは考えておらず

少し焦った声であった


「そうっスよ!澪っちは何かないんスか?」


黄瀬の言葉に澪は悩むそぶりを見せる



「うーん…あ、笑顔が可愛い」


思いついたようにそういう澪に皆驚いた


笑わないことはないが普段、基本無表情の黒子


その幼馴染が黒子の笑顔をチョイスするとは予想していなかった


「ちょ、ちょっと待って澪ちゃん!」


「え、な、何?さつき――」


「テツくんの笑顔見た事あるの!?」


「え、普通にあるけど…テツ、バスケしてる時とかよく笑ってるよね?」


「そうだけど!私が言いたいのはそうじゃなくて!」


わーわー騒ぐ桃井に何が言いたいのか理解ができていない澪


紗希は興味がないのか、飽きたのか


ホワイトボードに黒子の似顔絵を描き始めていた


緑間と紫原は紗希の絵を見ていた


黄瀬と青峰は桃井の言いたいことを理解したのかニヤニヤと二人のやり取りを見ていた


赤司はそんな皆を面白そうに見ていた



「?さつき、何が言いたいのか良くわかんないよ」


「うぅ、だから、テツくんと二人きりの時に笑顔を見た事あるの!?」


「えー?…うん、まぁ、あるよ」


澪の言葉に桃井はショックを受けたようで

床に膝と手を付けぶつぶつと独り言を繰り返していた


「え、さつき?わ、私何かしちゃった!?」


慌てる澪に青峰と黄瀬は大丈夫だとフォローを入れて

続けるよう言った



「えー…っと、他に誰かいる?」



澪はみんなの目を見ながら言うものの


誰もそれに答えるものは居ない



すると、聞きなれた声がガチャっと扉の開く音と共に聞こえた




「スミマセン、遅れました」



今までの話の中心となっていた、そう黒子テツヤだった


皆はあり得ることなのに黒子の登場に驚いていた



「え、なんでテツ来たの!?」



「え?来ちゃいけなかったんですか…?」



「い、いや、そういう事じゃなくて」



「?あの、紗希さんたちは何をしてるんですか?」


ホワイトボードに向かう紗希と


何故かホワイトボードを隠そうとしている緑間と


それを見ている紫原


黒子は彼らの行動に疑問を持った



「えーっと、これは…」



「――…!できた!見てみて!すごく似てない!?」


空気の読めない紗希の声に


皆の視線が集まる


「おーなんか似てるな」


「おぉ!黒子っちっス!」


青峰と黄瀬を筆頭にみんなが似てると声を上げる


いつの間にか復活した桃井が


キャーと叫びながら紗希が描いた黒子を写真に収めていた


紗希は似ていると誉められ嬉しそうに目を細めた



「え、似てますか?そんなに」


「うん、似てるよ」


黒子の問いに澪が答える



赤司はちらりと時計をみて


「さぁそろそろ練習を始めよう」



「はーい」


「ういっス!」


「ほーい」


「わかったのだよ」


「じゃあ準備してきます」


「え、さつきさっきとテンションが…」


「わかりました、急いで準備します」






END
 

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