黒バス

□トリック・オア・トリート!
1ページ/1ページ



10月31日


今日はアメリカのお祭り


ハロウィンだ



「…てことで大ちゃん!トリック・オア・トリート!」

「は?なんだそれ」

「な!去年もしたよ!お菓子くれなきゃいたずらするんだから!」

「あぁ?菓子?持ってねーよそんなん」

魔女の帽子をかぶった紗希を呆れたように見下ろす青峰

「えぇー持ってないのー?」

「持ってねーよ紫原じゃねーし」

「むーじゃあ大ちゃんおんぶして!」

「はぁ?」

お菓子を持っていない青峰にいたずらを何にするか悩む紗希

ひらめいた紗希は弟に自分を乗せるよう急かす

「だってお菓子持ってないんでしょ?だったら私とお菓子一緒に貰いに行くの!」

「あぁ?メンドせーよ」

「…じゃあ堀北マイちゃんの写真集全部捨てちゃう」

「スミマセン行かせて貰います」

「うん、じゃあ行こー!」

流石見た目はアレだが姉なだけはある

弟の扱い方をよくわかっている

姉に脅された弟はそれほどに写真集が大切なのか

おとなしく片膝をつき両手を後ろに差し出す

紗希が飛びつくように抱き着くと

何事もなかったかのように立ち上がり

どこに行くんだ、と聞く


「んーやっぱまずは紫原くんかなー」

「あーまぁいいや、行くぞ」

「れっつごー!」


――――――――――
――――――

青峰姉弟はお菓子を持ってそう…

否、持っている紫原の元へ歩みを進めた


「あ、紫原くんいたー」

「あ、峰ちんに紗希ちんじゃん、どしたのー?」

「あぁ、コイツがな」

「トリックオアトリート!お菓子くれなきゃいたずらするぞ!」

「えー?いたずらはヤダだしーしょうがないから
 はい、これあげる」

「あーありがとう紫原くん!」

「はいはいじゃあねー」

「うんバイバイ!」

「じゃーな」


紗希にお菓子をあげるだけあげてまたどこかへ行ってしまった

「よかったな一個貰えたじゃねーか」

「うん!じゃあ次は緑間くんねー」

「まだ行くのかよ」

「まだまだ行くよーじゃあしゅっぱーつ!」

「しょーがねーなぁ」

飽きれながらも姉のわがままに付き合う弟の姿がそこにあった


――――――――――――
――――――――

「あ、緑間くん発見!」

「あ、居たな」

「早く!早く!」

「わーったから騒ぐな落ちるぞ」

「はーい」



「緑間くん!トリックオアトリート!」

「む?紗希と青峰か」

「よぉ」

「だーかーら!トリックオアトリート!」

「ム?菓子など…しょ、しょうがないからこれをやるのだよ」

「わぁ、ポッキー!いいの!?」

「いらないのなら返すのだよ」

「ううん!ありがとう緑間くん!」

「べ、別に…たまたまあっただけなのだよ」

「ふーんわりーな緑間」

「な、なんのことなのだよ!」

「よし、じゃあ大ちゃん、次は黄瀬くんだよ!」

「はいはい、じゃあな緑間」

「バイバーイ」



――――――――――――――
―――――――――――


「あ、やっと黄瀬くん見つけたー!」

「は?あ、青峰っちの紗希っちじゃないっスかー
 どうかしたんスか?てか紗希っちまた青峰っちに乗っかってんスね」

「うん!あのね、トリックオアトリート!」

「え、トリッ?え、ちょ?」

「あぁ紗希,ダメだはコイツバカだからよ」

「あぁ、そっか黄瀬くんトリックオアトリート知らないんだね」

「し、知らないっス…」

「今日はハロウィンだよー」

「ハロウィン?え、明日じゃないんスかー?」

「今日だよ!てことは黄瀬くんお菓子持ってないの?」

「持って…も、持ってるっス!」

「ちぇ、ざんねーん」

「だな」

「なんでっスか!」

「早くお菓子ー」

「さっさと出せよ」

「辛辣っス!」

「わかったから早く!」

青峰姉弟の連携プレーは流石双子というべきか

理不尽にいじられる黄瀬が可哀想なほどのものだった

若干無理やりだが黄瀬からロリポップを奪った紗希はそれを口に含み喜んだ

「ありがと黄瀬くん!」

「紗希っち…!いいっスよ!」

「うん、じゃあバイバイ」

「じゃーな」



「次誰のトコ行こっか」

「あぁー赤司?」

「うん、じゃあ早く!」



――――――――――――――
―――――――――――


「あ、赤司いた」

「ホントだ、行くよ大ちゃん!」

「はいはい」

めんどくさがりながらも少し楽しさを覚えた青峰

赤司をいち早く見つけ姉に報告する

そして赤司のもとへ急いだ


「赤司くん!」

「なんだ紗希、また大輝に乗っかってるのか」

「うん!」

「おい、ちげーだろ」

「あ、そうだった赤司くん!」

「なんだ?」

「トリックオアトリート!」

「あぁ、そういえば今日だね」

「うん!だからお菓子!」

「…あ、ちょうどあった
 ほらこれをやろう」

「わ!ありがとう赤司くん!」

「まぁ紗希にならいたずらされてもよかったんだけどね」

「え?」

「何でもないよじゃあな2人とも」

「うんばいばーい!」

「あ、ああ」

意味深な言葉を残し去って行った赤司を見送る二人

姉の紗希は何の事だかわかっておらずハテナマークが浮かんでいる

一方弟の青峰はまさか…というような複雑な表情で赤司を見ていた


「ねぇ大ちゃん、赤司くんのどういう意味?」

「あぁ?」

「いたずらされたかったのかな…!」

「あ、あぁもうそれでいーんじゃね」

「そっか!うん、わかった!じゃあ次はさっちゃん!」

「あぁじゃ、行くか」

「うん!レッツゴー!」


数秒後には何も気にしない様子で幼馴染のもとへ行く二人だった



――――――――――――
――――――――


「あ、青峰くん!紗希ちゃん!」

「やっほーさっちゃん」

「よぉ」

「トリックオアトリート!」

「え?…あぁ、はい!」

「やった!ありがとうさっちゃん」

「はい、青峰くんのも」

「あぁさんきゅー」

「じゃ、私用事あるから行くね!」

「うん、ありがとうさっちゃん!」

「じゃあねー」

「うんばいばーい」


渡すだけ渡し、颯爽とどこかへいく幼馴染を見送る

「どうしたんだろさっちゃん」

「さーなほら最後テツと澪んとこ行くんだろ」

「うん!早くいこう!」


――――――――――――――
――――――――――
―――――――



「あ、いたいた澪ちゃんに黒子くん!」

「よぉ」

「あ、紗希に青峰くんだ。どうしたの?」

「どうも」

「トリックオアトリート!」

「あ、そっか今日ハロウィンか…!」

「えっと…はい、これで良かったらどうぞ」

「あ、じゃあ私もいまこれしか持ってないけど…」

「わぁ!ありがとう黒子くん、澪ちゃん!」

「よかったな」

「うん!」

「あ、青峰くんにもあげるね」

「おぉサンキュー」

「あ、じゃあ僕たち用事があるんで失礼します」

「うん、ごめんね」

「あ、そうなんだじゃあねー」


そういってさっていく二人を見送りながら紗希は弟の首に回している腕に少し力を加える

「ねぇ大ちゃんみんなどうしたのかなー」

「しらねーよ」

「そっかー」

「いい加減降りろよ」

「えーやだー」

「疲れた」

「私は疲れてない」

「お前が疲れてたら驚きだろ」

「そうだね」

兄弟喧嘩のようなものを繰り広げてふと紗希は思った

「あ、そういえば私お菓子作ったんだった」

「あ、そーいやなんか作ってたな」

「うん、かぼちゃのクッキーつくったの」

「ほーあとで渡せばいいじゃねーか」

「うん、そうだね」



―――――――――――――
――――――――――

数時間のときが流れ

部活の時間になった

紗希はみんなに渡すクッキーをみて

貰ってくれるかな…と思いながら

体育館への道を歩く


体育館へ行くと私が最後のようで

皆もう練習していた


私も更衣室で急いで着替えてドリンクなどの用意をする


―――――――
――――

いつも通りの練習が終わり

各々帰りの準備をする中

私はいつ渡せばいいのだろう、と悩んでいた

みんな帰りだしたので、あぁ渡せなかったな

とうなだれていれば

いくつもの足音が聞こえ顔を上げれば


「「「トリックオアトリート!」」」


顔を上げれば見慣れたカラフルな色の髪をもった人たち

「え、え?」

「クスクス紗希ちゃんは私たちに要求して自分はくれないの?」

「あれ?紗希もってなにの?じゃあいたずらだね」

「今日の紗希ちん良い匂いしたよー」

「紫原、気持ち悪いのだよ」

「紗希っちお菓子ないんスか!?」

「いや、コイツ作ってたぞ」

「よし、じゃあそれをもらおうか」

困惑する紗希に周りは気にせず話を続ける

「ほら、早く早く!」

「え、…う、うん!」


驚くもすぐに嬉しそうに顔を綻ばせ

パタパタと荷物を取りに行った




「はい!これ!」

差し出された可愛くラッピングされたそれを

皆受け取り各々感想を述べる

「ありがと紗希!」

「ありがとうございます」

「あ、これ今食べていいっスか?」

「紗希ちんお菓子おいしいよー」

「かぼちゃのクッキーか紗希らしいな」

「ふん、まぁありがとう、といっておくのだよ」

「わわ、紗希ちゃんこんど作り方教えてー!」


皆の言葉をきき紗希は嬉しさがこみ上げた

「よかったな」

「大ちゃん…うん!」

大きく頷いた













ハッピーハロウィン!







END
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ