黒バス

□強さの理由
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入部して数日後の初めての試合



特例の2軍とされた天才4人


その4人ともう一人…



灰崎祥吾



この5人で2軍の試合を行った



…結果は




圧倒的な勝利だった




そのことにより



次の日の部活時間



緊急のミーティングが開かれた




その結果



現1軍メンバーと1年5人がゲームを行い


1年が勝った場合


スタメンの座を譲る



そういうことだった



そのことはバスケ部全体に広がり


練習を中断してまで


その試合に注目した


そしてそれは、選手だけではなかった


マネージャーたちも


その試合に注目した



小さな2人も…




「どっちが勝つと思う?」

「んー…体力的にはやっぱ今のスタメンだよね」

「うん、まぁそうだね」

「だけど…」

「ポテンシャルだけなら、勝つのはアイツらだ」

そう言う澪の視線の先はアイツら…

1年5人の姿があった






――――――
――――――――――
――――――――――――――




結果は…



誰もが頭の片隅に予想していた


けれど、それはそう…



絶望とも呼べるような結果だった




1年5人vsスタメン










 107 : 48









圧倒的な勝利だった



____________
_________
____




「まさか、こんなことになるなんて…」

誰かがそう呟いた


その言葉に同意するように周りが少しざわついた


それはそうだろう…




あの日あの時、圧倒的な勝利…強さを見せ付けた彼らは


この学校の…否、


この部活のスローガン、



百戦百勝



これをより確かなモノにするために、と


現主将により



「これより、1年赤司征十郎を主将とし」

「レギュラーには青峰大輝、緑間真太郎、紫原敦、灰崎祥吾を加え」

「ベンチには現スタメンメンバーを入れる」

「…この事に異議が有る者は前に出ろ」



主将の低く冷たい言葉に、前に出れる者など居なかった





「それでは、これより赤司を主将とし練習を始める!」

「「「はいっ!」」」



皆、納得などいっていないだろうに

この学校のこの部活が特殊なために仕方ないと諦めた様子だった

そんな様子で練習を始めようとしたら

赤司の言葉でキュッと音を鳴らし静止させられた


「あぁ、少し待ってくれ」

皆、何故だと言いたげな表情で赤司を見つめた


「これから、マネージャーも変わってもらう」

この言葉に辺りはざわついた

それも当然だろう



先程までマネージャーはあまり自分たちに関係のない話だったが

赤司は自分たちの軍すらも変えると言い出した


赤司の言葉に反対の声をあげた者がいた

「なんで私達まで変えられなきゃいけないのよ!」

「…そうよ!」


最初に声をあげたのは2軍のマネージャー


次に便乗するように言ったのは1軍のマネージャー


それから次々に反対の声が上がった

それを他人事のように見つめる3人

桃井さつき、青峰紗希、白川澪だった


「赤司くんに何を言ったって無駄だと思うけど…」


ポツリと呟いたのは青峰紗希


その言葉に桃井さつきと白川澪は同意した


「うん、きっと意味ないと思う」

「赤司くん、何考えてるんだろう…」




赤司はマネージャーたちの言葉を一通り聞き終えると口を開いた


「…それだけか?」


「なっ!」


「もう良いか?話を続けたいんだが」


赤司の言葉にマネージャーたちは黙った


「1軍マネージャーを桃井さつき、青峰紗希、白川澪の3人に任せる」



それには先程他人事のように見ていた3人も驚く


まさか自分たちの名が上がるとは思っていなかったからだろう


「何で1年が1軍のマネージャーなのよ!」


先程の2軍マネージャーは声を荒げた



納得いかないのだろう


自分を指しおいて1年が1軍マネージャーになることが…


そしてまたもそれに便乗するように1軍マネージャーも声を上げた


それに答えるように冷たく言葉を放った


「お前は何が出来る?」

「えっ…?」

「お前には未来がない、成長が見られない…だから要らない」

「なっ!」


赤司は向きを変え、1軍マネージャーの方を向いた


赤司と目が合い少し肩をあげた


「お前は、少しは才能があることは認めよう」


「っ!と、当然よ!」


「…しかし、選手の練習の邪魔をしている」


「な!邪魔なんてしてないわよ!」


「それはお前の意見だ」


赤司は目の前の1軍マネージャーが3年だろうと関係ないようだ



視線を部員たちに移し続けた


「これまでの練習でコイツが少しでも迷惑…邪魔だと思った者は手を挙げろ」


各々は周りを見渡し

不意に誰か1人が手を挙げた


そしてそれに続くかのように次々と手を挙げる部員


それはマネージャーも例外なく

半数近くの者が手を挙げていた



…それは先程名前の上がった

桃井、紗希、澪の3人もそうだった



確かに入部したての時自分たちに優しく教えてくれたが


自分の仕事が終わればすぐに部員たちの応援に行った


確かに応援も大切だろうが

それは限度を超えていたが
皆彼女が3年で能力もあるから


誰も口に出せずにいた



赤司は目を閉じ彼女の方を向きながら目をゆっくり開き


どうだ?


とでも言いたげな表情で口角を上げた



そして事実をようやく知った

3年の1軍マネージャーは顔を赤くして

黙って去って行った



赤司は何事もなかったかのように部員たちを見渡しながら

「他に異論がある者は?」


そう問うが誰も答えられるはずがない


赤司は満足そうに息を吐き


「さぁ、練習を始めるぞ」




新帝光中バスケ部始動―――…




小さな少女たちは楽しそうに、嬉しそうに、


笑っていた











END
 

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