黒バス

□バカ…?
1ページ/1ページ



――――誠凛高校――――



真新しい制服に身を包み

両手で真っ黒なボードと白いノートを抱き締めて


少女――――…

白川澪は走っていた




「あぁーもう!早く行かなきゃ行けないのに――!」

澪は放課後に先生に掴まり

雑用を任せられてしまい


昨日1日掛けて作った

選手の体調管理等をまとめたノートを

監督に見てもらおうと

待ちきれない思いで体育館に行こうと

一日中計画していたのに…


ソレは、先生の一言により崩れ去った

「白川!ちょっと手伝ってくれ、お前今日日直だろう」

「え?いえ、日直じゃないですけど…」

「お?そうだったか?まぁ良いじゃないか!手伝ってくれ」

「あの、急いでるんですけど!」

「大丈夫だ!直ぐ終わるから」

じゃあ1人でやれよ、とか思うけど

こうなったこの人に

何を言っても意味が無いことは

1か月ほどしかたっていないが理解していた



だから澪は早々に諦め

早く用事を済ませ、部活へ行くことを考えた







直ぐ済むから、と言ってたのに…

20分も掛かってしまった…!

あの人には…もう絶対掴まらない!


と決意した澪だった














その頃の体育館、バスケ部は―――――



「アレ?澪ちゃんは?」

「?居ないのか…ですか?」

今日は一緒に来たはずだ…と

周りをキョロキョロと見回すが目当ての人は居ない


「澪さんなら先生に捕まってしまったので今日は遅れます」

「く、黒子っ!?」

「火神くん、いつも一緒に行くのに気付かないなんて酷い人ですね」

「っえ!?い、いや!アイツが小さすぎるから気付かないだけだ!」

「…失礼な人ですね」

何時もの無表情に加えて

黒子の背後に黒いものが纏われている


それに対して火神は

普段ではあり得ない黒子に驚きと

少しばかりの恐怖を抱いた


それを見ていたリコは

澪ちゃんの悪口を言うの火神が悪いだろ!

と悪態をついていた



それから数分後

ようやく澪は部活に参加出来た


来てすぐにリコに

見せたかったボードとノートを見せ


リコの感想を待った

その姿を見ていた部員は各々に


(可愛い…!)

(黄瀬くんに似てますね…)

(…バカ…?)


「――…うん!これ、作るの大変だったでしょう?」

「いえ、大変でしたけど中学でもしてましたし
 皆さんのお役にたてると思えばこんなの余裕ですよ!」

「澪ちゃん…!」

可愛い!と抱き締めるリコに

わゎ!と驚き照れる澪

主将である日向は2人に近付きボードとノートをみた


そこには

作戦とノートびっしりに書かれた

自分達一人一人の体調を考えたトレーニング方と

エネルギー接種量をまとめたもの

シュートするタイミングの調節等を纏めたもとだった



細かく書かれたソレは

たった1日で作れるものではないことを理解した日向は

澪の能力のスゴさと改めて帝光中のレベルの高さを思い知った


選手だけではない

マネージャーですら天才並みのものだった

それほどの逸材がこの学校に来たことに感動していた


そしてすぐに、未だに抱き付かれながら

どうですか?と聞く澪に返事をする


「スゲーとしか言いようがねぇな…!」

「本当ですか!?ありがとうございます!」

本当に嬉しそうに笑う澪につい頭を撫でたくなり

欲望には勝てずポンポンと頭を撫でた


澪は少し驚くも直ぐに嬉しそうに目を細めた





日向が褒めたノートを

他の部員も俺も俺も、とノートを見た

皆おぉ!と感嘆の声をあげていたので

澪は嬉しくなった


そしてそれに比例するかのように

顔もゆるゆると緩んで俗にいう

だらしない顔をしていた

けれどそんな表情ですら可愛いと思えた

それはやはり、元が良いからだろう



けれど火神は言った

「だっらしねぇー顔」

「っな!火神!?」

「火神くん?」

火神に言われ気付いたのか

ハッ!と顔の筋肉を引き締めた


「バッカじゃねーの?そんだけでそんな顔するなんてな」

「なっ!火神くん!そんなこと言わなくて良いじゃない!私頑張ったんだよ!」

「そーだぞ火神!白川に失礼だぞ」

呆れた様子でいう火神に食ってかかる澪

2人の身長差は激しくいくら澪が睨もうと火神には通じなかった





そう…澪では…



「火神くん…」

「何だよ黒こ…っ…!」

「何故君は澪さんをバカにするんですか?」

「ぇ、い、いや…」

「言い訳なんて聞きたくありません」

「な、何すんだ、黒子ぉぉ!!!」

澪の代わりに黒子がか火神に体裁を加えた

「プププ、バカは火神くんじゃない」

テツは怒ったら怖いんだから

クスクス笑いを溢しつつ

何故黒子が怒っているのかを考える澪



澪の考えを理解しているか否か

リコは笑顔で見守りつつ

青春だわ!と頷いていた









今日も誠凛高校バスケ部は元気です







END
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ