黒バス

□灰色の脅威
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「お前、バスケ出来るんだってな」


突然そう言われた中学1年の秋

向かい合うように立ち

ニヤニヤと笑みを浮かべながら

私に爆弾を投下した


「は?今、何て…?」


「だから澪、お前“――――”って言われてんだってなぁ」


「…そんなことない」


「ハッ!しらばっくれるのか」


「別に、あんなに関係ないじゃない」


「あぁカンケーねぇな」


目の前の灰色…


灰崎翔吾は私の言葉など関係無いかのように続ける


「…赤司」


灰色の口から紡がれた名に

嫌でも反応したのが解る


それをしっかりと目に捕らえた男は先程より濃い笑みを浮かべた


「赤司に言われたくないんだろぉ?」


「…何が言いたいの?」



この男の考えていることがわからない

ニヤニヤと気持ちの悪い笑みを浮かべる




「俺はお前がどうなろうとカンケーねぇ」


「けどな、お前をボロボロにしたら―――…」


お前の幼馴染はどう思うだろーなぁ?



ぞっとした


ブルッと身震いし、全身に鳥肌が立つのがわかる

冷や汗が流れる



「私を…テツをどうしたいの…?」


恐る恐る尋ねれば


私に近付きながら答えた


「俺は人のモンが欲しいんだよ」


「お前とアイツの仲の良さ…」


…ぶっ壊したくなる



目を見開いたまま動けない




「…つってもお前とヤるほど俺は暇じゃねーんでな」


「…」


「そう睨むなって!」


「だからアンタは何がしたいのよ」


ようやく少し落ち着き


やっと出た言葉がそれだった


灰色の男は肝心なところを言ってない


「…ぁーとりあえず…まぁ俺の相手になれよ」


「どうせ私には勝てないよ」


…多分。曖昧で不確かで可能性は低いけれど

それが私の精一杯の見栄だった


「あぁ?俺がお前なんかに負けるってか?」


フハハ


突然、よほど私の発言が可笑しかったのか笑いだした


「舐めた事言ってんじゃねーよ」


肩が揺れたのが解った


「…今からやるぞ」


右腕を痛いくらい掴まれ引きずられるようにある場所へ向かった



着いた先は第4体育館


中には誰もおらず、少しホッとする


勢いよくボールを顔をめがけて投げられ


慌ててボールをキャッチした



チッ、


灰色から舌打ちが聞こえた


…正直、イラッとした



もう、どうでもいいや


目の前の男に、


力の差を見せつけたかった






――――――――――――――
――――――――――




圧倒した



…もちろん私が。



目の前の灰色は1年でレギュラーを取っただけはある


ドライブで抜こうにも中々抜けなかった



だから、抜くのをやめた



3Pラインより少し前


灰色のマックスのジャンプでも届かないであろう高さで

ボールをゴールめがけて投げた


シュートなんて呼んではいけない


ただ、単純に、ゴールに向かって片手を振った


ボールはゴールに入った


良かった、入るかどうか、不安だった


目の前の灰色は苦虫を潰したような顔をしていた



優越感に浸るには最高の材料だった




「…なんだよお前」


「何って…帝光バスケ部マネージャーですが?」


「ハッ…面白れぇじゃねーか」


「…もう帰っていい?何度やってもアンタは私に勝てないよ」


今のままでは…


いや、もしかしたら、ないのかもしれない



目の前の男に未来が見えない


他の1年レギュラーの彼らと比べれば

光が淡い







2回目





灰崎くんの攻撃


私だって、そう簡単に抜かせる気はないよ


灰崎くんは舌打ちをして行動を起こした


…同じ、私と同じ


灰崎くんのプレースタイルは相手の技を奪う


私のさっきのシュートをマネした


…否、奪った






―――――“はずだった”―――――



灰崎くんのシュートはリングに当たることなく跳ね返った


それには灰崎くんも驚いたようで目を見開いている



「…彼らのスタイルは奪えないんでしょ?」


だったら、私も同じよ



アンタには、私のスタイルは奪えない





―――――――――――
―――――――――――――――



あれから、私の制限時間20分ギリギリまで


1on1を続けた


けれど結果は全戦全勝、私の勝ち


灰色はすごく悔しそうに舌打ちをして、体育館を出て行った







灰色の脅威はこれで終わったのか?



まさか…いや、それは無いか

























まさか、紗希にまで手をだしてないでしょうね?






もしそうだったら…












「本当にアンタを潰すから」










END
 

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