月の姫という者〜始まりの時〜
□作られた出会い
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最後の仕事はとある貴族の誕生日パーティーによって始まった。
ここの主人はとにかく自慢という物が好きで、多くの人を呼びパーティーを開くことをよくしている。もちろん、金のかけ方も半端ではない。
私は自分の服装を見直した。
紫のドレス、靴を中心に首にはダイヤの入ったネックレス、黒い髪は上でアレンジをし、白と紫のバラの髪飾りがある。
周りの目を寄せているということはそこまで悪くはないのだろう。
私は本物の貴族のように静かに会場を歩いてみる。
たくさんの人をかき分け、たまに話しかけてくる男どもをさりげなく流しながら1人1人の顔を見ていくと、目的の人物達は案外簡単に見つけられた。
晴の守護者ナックル、嵐の守護者G。
そして、ボンゴレのボスでもあり、大空を操るもの1世、実名ジョット。
この場にはその3人のもの以外見当たらない。
私はテーブルから赤ワインを1つ取り少しづつ歩き出す。
時間をかけ、ばれることの無い様にあと1歩の所まで近づき・・・
転ぶ。
まるで何かに引っかかったようにしながら。
バシャ。
気づいた時にはボンゴレのボス、プリーモに支えられていた。
「おい、大丈夫か?」
『あ!ご、ごめんなさい』
内心笑っているが表には出さず、飛び上がる。
演技力はいいほうだ。人をだますのは得意だから。
「おいジョット、そのままじゃ究極に落ちんぞ」
「最悪なことにワインだからな。しかも赤。」
プリーモが着ているのは黒のスーツだが濃厚なワインなので匂いが強いので残るだろうし、放置しとけばシミもできるだろう。
『本当にごめんなさい。弁償はしますので…』
「気にするな、ただのスーツだ。替えはいくらでもある」
そういうと立ち上がり、2人の守護者に話しかける。
「すまないが先に帰らせてもらうから、後は頼む」
「ん、ああわかった。」
「究極に任せろ」
『あ、あの!』
私は出口に向かって歩いていたプリーモを呼び止めた。
『何か私にやらせてもらえないでしょうか。図々しいかもしれませんがお願いします』
「そう、だな…」
プリーモは考え込む。様子からして特にはないようだ。
『一応家事もできますし、簡単な仕事は手伝うこともできると思うので。なければやはり弁償させてください』
「そうか、なら明日の夕食でも作ってもらうかな。・・・それでいいか?」
『はい。ありがとうございます』
「ハハ。じゃ明日俺の家に来てくれ。時間は何時でもいい。で、場所は…」
プリーモは家の場所を教えてくれる。
もちろん、そんなことは聞かずともわかっているが。
「そういえば自己紹介がまだだったな。俺はジョット。ボンゴレファミリーのボスをやっていて、今住んでいる家もボンゴレの溜まり場みたいなところだ。別に変なところではないから安心しろ」
『はい。あ、私はモモカです』
「…モモカ…よし、覚えた」
それから私とプリーモは話をしながら途中まで一緒に帰った。
けど、話をしている間も私の頭は仕事の内容だけ。
だって、今の私には何よりも一番うれしいことだから。