短編集

□過去拍手
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「あっつー……」
「お前はさっきからそれしか言わないな」
まだ、初夏だというのに、じりじりと気温は暑く、彼女をうならせるには十分の気温だった。
「なーんでジャックはそんな涼しそうな顔してるのー……」
「キングだからだ」
「あっそ……」
だらり、と黒いツインテールをベッドにたらしながらうなだれた。
「だらしがないぞ、いいから起きろ」
「嫌だ。なんで私があんたなんかに命令されなくちゃいけないのよ……」
だらり、とベッドに突っ伏したままめんどくさそうにつぶやいた。
「まったく……、いい加減に起きろ」
「だから嫌って言ってっ――――」
眼前にはジャックの顔が。
少女は数秒、思考が停止して、そのすぐ○.一秒後に理解する。
キスをされた。
そこまで理解して、彼女はとっさに離れようとしたが、いかんせんジャックに頭を押さえつけられているため、身動きすらままならなかった。
「ん、ぐぅぅ……!や……」
自分の頬が高潮し、鼓動が早くなるのを感じた。
恥ずかしくて死にそうになってしまっていた。
少女は仕方なくジャックの口づけを受け入れていると、突然、ぬるり、としたものが口内に侵入し、彼女の小さな舌を絡め取った。
「ん!?んー!うぐぐ!ぅー……やらぁ……」
「少し大人しくしていろ……」
「な、んぅ……、ふぁ……」
くちゅり、と唾液の混じる音が聞こえる。それがたまらなく恥ずかしくなる。
ようやく唇が離れたと思うと、今度はそのままベッドに押し倒されてしまった。
まだ気温は暑い。いや熱いというべきか。
少女はこのまま熱に任せて彼と溶けてしまってもいいと、そこまで思考して、考えるのをやめた。
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