短編集

□過去拍手
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※櫂君の後輩設定です。
(二人は付き合ってる設定です)




「先輩先輩!」
「なんだ。二回も呼ばなくても聞こえているから安心しろ」
夕暮れの帰り道。
恋人同士である二人は茜色に染まるコンクリートを歩いていた。
「えへへ、そんなことより今月は六月ですよ!」
「……?それがどうした」
「わかってないですね先輩……。ジューンブライドですよ!」
もう!と息を荒くして、プイとそっぽを向く彼女の頬は赤い。
おそらく言った彼女本人も恥ずかしいのだろう。
「で、それがどうした……」
「いや、だから、その」
「はっきり言え。言わないとわからないだろ」
彼女の方を見ることもなく、櫂は淡々と聞いた。
「いや、その、一日、で……今日だけでいいから、私と夫婦になってほしいの……」
「…………」
ぴたり、と櫂の足が止まる。
少女は、しまった、と、後悔したが、櫂の答えは意外なも
ので、少女はとても驚いた。
「今日だけだぞ」
「っ〜〜〜〜〜!ありがとう!」
えへへ!と、うれしそうにはにかむと、彼女は櫂の腕にぎゅう、と抱き着いた。
「っ、今日だけだからな……」
「わかってますー!」
そう言って彼女は、今日の夕飯を作ると張り切って帰るのだった。
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