嘘つき少女ととある軍人

□プロローグ
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あぁ、本当になんて空は青いのだろう。
バチカルのルーク邸の中庭から無限に広がる青空を見上げながらディアナはそう思った。
自分とは何もかもが違う空。
自分のように感情をひた隠して生きる必要もないのだろう。
彼女は黒コートを風に靡かせながら感慨深く空を眺める。
「そんなところで何をしているのです?」
「……何しに来たの」
「ずいぶんな言い方ですね、ディアナ様」
突然現れたオラクル騎士団の軍服を身に纏い、男らしい髭を蓄えた男が尋ねた。
「戻る気はないのか聞きに来たんですよ」
「ない」
「即答ですか」
「……当り前よ。私はもう、決めたんだから」
ディアナは腰に刺さった剣の柄をきゅっと握った。
「わかりました。では私はルークの修業があるので」
「そう」
それだけ言うと男はさっさと消えてしまった。
「私は、決めたんだから……」



「おっせーよ!何やってたんだよ!」
ディアナは自らの主の元へたどり着くと彼はご立腹のようで赤い髪を振り乱しながら怒鳴った。
「まぁまぁ……こいつだって好きで遅れたわけじゃ……」
「ガイにフォローされることほど屈辱的なことはないのに……」
はぁ、と大げさなほど大きなため息をついて言うディアナ。
「お前、人の折角のフォローを……」
「マスター、早く行きましょう?ヴァン様が待っているんでしょう?」
「おっと、そうだった。じゃ、行くか!」
「お前ら俺は無視か!」
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