Fortissimo

□新しい日常
1ページ/3ページ

「もう一回よ!櫂トシキ!」
「いいだろう。だが何度やっても同じことだ」
「そんなこと言って、あとで吠えズラかくのはそっちなんだからね……」
夕方のカードキャピタル。
みな、学校を終え、カードキャピタルにいた。
そんな中、櫂と涼風はやいやいと言い合いながら(この場合#NAME4#が一方的に騒いでいるだけだが)ヴァンガードをしていた。
「うるさいよ、涼風。騒ぐなら出て行きな」
「待ってよ、ミサQ、だってこいつが!!」
「他のお客さんもいるんだから静かにしな」
「はーい……」
ぶーたれながら涼風が櫂と向き合い再びファイトしようとデッキを切る。
「ところで、今日は結依はいないの?」
ミサキが珍しそうに、涼風に尋ねた。
「あぁ、あの子なら委員会だってー。終わったら来るとは言ってたけど」
「そう」
それだけ言うとミサキは再び読んでいた文庫本に視線を戻す。
「櫂トシキ!今度こそ負けたら私の下僕になってもらうんだから!」
「やっと委員会終わったと思ってこっちに来てみたら……先輩何言ってるんです……?」
疲労の色を顔ににじませながら呆れた目で結依は涼風をジト目でにらんだ。
「あ、ゆいにゃん!櫂君が負けたら私の下僕になってもらうっていう約束があってね」
にやけ顔で櫂を横目で見る涼風。
「まぁ、俺が負けるわけがないけどな」
「ぐぬぬ、さっきせっかく五ダメまで追い詰めたのにこいつ六点ヒールしたんだよ!?ずるくない!?」
「ヴァンガードファイトにずるいもずるくないもないだろう。まぁいいファイトだったぞ?」
挑発するような笑みで涼風を見上げる櫂。そんな彼に煽られ涼風はむきー、と声を上げながら子供のように地団太を踏みながらぎりぎりと悔しさを表情ににじませて櫂を睨みつける。
「……だね……」
俯いて結依が、聞こえるか聞こえないかの小さな声でポツリと、言葉を零す。
「……ゆいにゃん……?どしたの?」
「二人とも、仲いいんだな、って」
「はぁ!?何言ってんのゆいにゃん!正気?誰がこんな奴と」
素っ頓狂な声を上げて、ひょうひょうとした表情で佇む櫂を指さす涼風。
「それはこっちのセリフだ。お前みたいな女と仲がいいなんて言われたら虫唾が走る」
あくまで表情は崩さず、それでいて不機嫌そうな低い声で櫂もそれを否定した。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ