Fortissimo

□邂逅
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涼風は先ほどまで櫂とファイトしていた中学生を睨みつけながら、ずかずかと荒々しい足音を立てて彼らに近づいた。
「ちょっとあんたたち!私の可愛い可愛い弟に何してくれちゃってるのかな?」
「なんだよお前、別に関係な……」
「問答無用☆」
にこり、とさわやかかつ可愛らしい笑顔を湛えたと思うと次の瞬間には細く長いしなやかな足を中学生に向かって思い切り弧を描いた。
そう、彼女は彼にハイキックをぶちかましていたのだ。
それを食らった彼はぶふぉ、と何とも間抜けな声を出しながら壁に叩きつけられた。
「ちょ、先輩だめですよ!先輩に蹴りなんて入れられたら頚椎損傷しちゃいますよ!」
結依が慌てて涼風に近寄った。
「そん位してやんないとダメ。私は弱い者いじめする奴が大嫌いだから」
「先輩……」
悲しそうに、申し訳なさそうに結依が自分よりも少し背の高い涼風を見つめた。
「ほらほら、そんな心配そうな顔しない。ほら、櫂君とこ戻るよ!」
「というか店で騒ぐなら出てって欲しいんだけど……」
「ごめんねーミサQーそこで伸びてる馬鹿が暴走するから……」
ぴっ、と先ほどハイキックを食らって伸びてしまった森川を指さす。
「その呼び方やめて。それと他のお客さんもいるんだから……」
「はいはーい!わかってまーす」
(こいつ絶対わかってない……)
そう言いながらぴょんぴょんうさぎのように跳ねる涼風を見て、あきれるミサキだった。
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