微笑んだジーニアス

□序章
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昔の話だ。

たとえ体は小さくても、かっこいい子がいた。


早熟で、すでに大人と同程度の力に目覚めた子供が、

まだ目覚めていない か弱い子供達を狙い一方的な力を振るっていたとき

その子は現れた。


相手の強さなど関係なく飛び出して 一人か弱い子供達の盾になっていた。
自らを太陽のようきらきらと輝く 淡い光に包まれながら

力強い視線で、早熟な能力者達を威嚇していた。

『わぁー!また”ひーろー”だ。またあいつが来たぞー』
『いいところだったのに、ジャマなやつー』

『うわぁぁん、助けてくれてありがとう!』
『ありがとー。ひーろー!』
『また守ってね!ひーろー』


そいつは、みんなの人気者だった。


俺は、周りとは早熟に3つの能力に目覚め 守ろうと思えば守れる立場だった。
けれど、できなかった。

俺は、あいつほど強くなかったから。


『ゆーくん、どうして泣いているの?』

『だって、だっておれは守れたのに』


『泣き虫弱虫ゆえんは、先生の後ろに隠れながら ガタガタ震えていたんだよな』

『なんだよ!俺だって、俺だって!
 ――に怪我してほしくないって、怪我してほしくないって・・・・・・!』

『ありがとう、ゆーくん。僕なら怪我してないからだいじょうぶだよ』


『いつか、ぜったい俺がお前を守るから!守れるように強くなるから!』

『お前みたいな弱虫が守れるか。――は俺が守る』

『うん、ありがとうゆーくん。僕もゆーくん、みーちゃんを守れるように強くなるね』


『――が強くなったら、俺が追いつけないだろ!』

『――は、俺に守られていればいい』

『あははっ、二人ともおかしいんだから』


冗談じゃないんだよ、俺は、――お前を守りたかった。

まだ信じられないんだ。


お前の目覚めた能力のせいで、行方不明になっているだなんて。



(見つけるよ。見つけてみせる 今度こそ、俺はお前を守るんだ)

 

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