優等生の憂鬱+

□優等生の憂鬱+
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当番を終え、職員室へ日誌を届けると、俺は何時ものように速やかに帰宅をしようとした。


すると、体育教師に呼び止められた。
倉庫に保管する体育館の鍵を戻し忘れたから、置いてきて欲しいとのことだ。
自分で行けと同級生なら言ってやるが、教師相手では分が悪いと、しぶしぶ了承して、俺は体育館裏にある倉庫へ向かう。


日も暮れ始め、今日はクラブ活動等もなく、人影など無くこの時間は静かな筈だが、体育館裏の方から言い争っている女達の声が聞こえてくる。嫌でも耳に入る大きさだ。鬱陶しい。何事だと思いつつも早く雑用を終わらせたいと、目的地でもあるその場所へ俺は急いだ。




(!…、あいつは……)

 騒ぎの正体は馬鹿な女子どもの陰湿なそれだということと、被害者はクラスメイトの一人だと解った。大勢に倉庫の壁に押遣られているが、泣くどころか寧ろ愉しんでいるように見える。
 まるで、世界を見下したかのような表情で、臆することなく、連中を嘲笑っていた。そんな態度は火に油を注ぐのに充分過ぎていたのか、俺が近づいてくるのにも、そいつらは気づかない程興奮していた。
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