長編夢
□その枷を壊すのは…
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ああ、また今日も始まるのか…
目の前にはキンピカ鎧をまとい、剣を手にする男
一方自分はボロボロの服を身にまとい身の丈ほどもあるバカデカイ剣を片手に足枷手枷をジャラジャラ言わせながらたたずんでいる
「始めっ」
審判を務める男の声が試合開始を告げる
キンピカ鎧は先手必勝とばかりに細く鋭い剣を自分ののど元に向かって突き刺そうとしてくる
それを自分は難なくよけて仕返しに出る
右手に持った剣の峰を横から振るえばキンピカ男は無残にも真横に吹き飛ばされる
ヒュッ
ドゴッ
破壊音とともに闘技場の壁にむなしくめり込むキンピカ男
『あっけない…』
「や…やめっ!」
審判の声が試合終了を告げ、医師団がキンピカ男を運び出す
そんな風景を眺めながら自分は観客からの歓声を受ける
『…………?』
キャーキャーワーワー騒がしい観客の中にひときわ目立つ人物がいた
金銀装飾品をまとった男だ
別に装飾品をたくさんつけてる人間なんてレームにはごまんといる
そうじゃない
その男は周りの観客のように立ち上がって騒いだりせず、ただ腕を組んでじっとこっちを眺めているだけだった
まるで値踏みするかのように…
それがとても異様で、同時に神々しくも不気味にも思えた
『……』
その男から視線を外し闘技場を後にする