激撮!少年少女の長い旅。

□観光*バトル*苛立ち
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「行けっ、イシツブテ!」

「頼む、ヒコザル!」

ぱかり、と図鑑を開きながら相手の様子をうかがう。


『イシツブテ、がんせきポケモン。
 山道に多く生息する。体の半分を地面に埋め、登山者の様子を見ている。
 石ころと見分けがつかない。頑丈な体を仲間とぶつけ合い、堅さを競いあう』

相手はLv.12、ヒコザルはLv.13だ。

相性は……ダメだ、イシツブテはじめんタイプでもあるからほのお技は
効果はいまひとつ。

ノーマルもいまひとつだし……ここは唯一のかくとうタイプの技にかけるか。


「ヒコザル、『にどげり』!」

「ひこぉっ!!」

最近気付いたが、どうやらヒコザルはバトルになると何かが吹っ切れるらしい。

普段と動きが格段に違う。


「イシツブテ、『ロックカット』!」

イシツブテの素早さが上がる。……まだ防御を上げられないだけマシか。

防御を上げられたら『にどげり』以外は効果いまひとつだし、根比べになってしまう。

はやめに決着をつけたい所だ!


「えっ、『ロックカット』したあとのイシツブテのスピードについてきている……!?」

「ヒコザルだってスピードには自信がありますから!」

図鑑を見るとイシツブテのHPは残り半分以下。

1回の『にどげり』だけで半分以下だから、もう1回当たれば確実に勝てる!

(『にどげり』なのに1回っておかしいかもしれないけど)


「ヒコザル、もう1回『にどげり』だ!」

「イシツブテ、『いわおとし』!」

イシツブテが岩を落とそうとするなか、ヒコザルがビクッと驚いたかのように身を振るわせる。


「ヒコザル……!」

もっと、もっと速く。

きっとヒコザルなら、どこまでも速く。

技だって、こっちが先に当てれば当たらない!


「いっけぇっ、ヒコザル!!」

「ひぃぃぃっ、こぉぉっ!!」

だんっ、と地面を強く蹴って真上に跳ぶ。

そんな指示してないけど、ヒコザルならやれるはず。

ヒコザルなら勝てる!


「ひこおぉぉ!!」

どすどす、と重力を伴った『にどげり』を繰り出すヒコザル。

ぐらり、とイシツブテはバランスを保てなくなり崩れ落ちた。


「イッシー!!」

悔しそうに叫ぶように雄叫びをあげ、たおれるイシツブテ。


「イシツブテ、戦闘不能!」

「よっしゃ!」

審判の言葉に、野生のポケモンや短パン小僧と戦った時とは違う喜びを感じる。

自分は今、ジムリーダーのポケモンを倒したのだ。


「『やあ、さすがだねー、パープルくん』」

いつの間にやらいた、撮影スタッフに声をかけられた。
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