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□忘れたフリした幼馴染み
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こんなにも毎日暑いけれど、まだ暦の上では今は“春”だという。

シンオウでこれだけ暑いんだ、ホウエンはどれだけ暑いのだろう。

俺は少なくともホウエンには一生行かない……!

心の中で、そんな下らないことを考えているとダイヤが家から出てきた。

手を振りながら「パール〜!」って言ってるから、俺の方に来るみたいだ。

…………なんと言うか、ゆっくり歩くよなあ、ダイヤって。

俺だったら日影目指して全力でダッシュするんだけど、
ダイヤなら「走る方が汗かくよ〜」なんて言いそうだな。

あ、そういえばまた新ネタを考えなければ。

前に作った時から、何だかんだ1ヶ月程さかのぼらなければならないくらいに時間が空いてしまってる。

ダイヤが考えるネタは、キレとツッコミが足りないもんなあ。

やっぱり(漫才の)修行の旅に出るべきだろうか。

うむむ、と考えているとやっとこさ俺のいるベンチまでやって来たダイヤ。

おお、やっぱ汗かいてる。


「おはよダイヤ。大丈夫か?汗かいてるけど」

「おはよ〜。暑いよ〜、お茶もらってもいい?」

「おう!ちょっと座って待っててくれ」

屋根の下のベンチを一旦立ち、部屋に戻ってお茶をつぐ。

氷もいれてやろう、ダイヤは氷をいれたお茶の方が好きだから。


「はい、持ってきたぞ。どうかしたのか?こんな朝早くから」

「ありがとう〜。いやあ、それはオイラのセリフだよ?
 こんな朝早くから日光浴でもしてたの〜?」

「屋根の下だから日光浴じゃない、っての。
 てことは、俺が見えたから来た、ってことか?」

「うん〜、それもあるかな〜」

「ふ、ふーん。そうなのかー」

ちょっと残念、とか思ってない。

別にそんなことは考えてないんだ、いくら幼なじみだからって、ダイヤが俺の誕生日覚えてるとは限らない。

ダイヤは大事なことほど忘れる傾向が強いし。


「ダイヤ、今日って何の日か知ってるか?」

「え〜?何かあったっけ?」

「知らないのか?“おけいこの日”なんだ」

「そうなんだ〜」

ふ〜ん、うなずくダイヤ。

このやりとり毎年やってるんだが、まだ思い出してくれないか。

やっぱりな……俺とダイヤの仲ってそんなもんだよな……。

軽くブルーになりかけると、ダイヤが、あっ!と声をあげた。


「おけいこの日、ってことは〜!」

「おうっ、おけいこの日ってこと、は!?」

期待してしまうのを、とがめないでほしい。

誰だってそうだろ?

自分の誕生日は、他の人にとっては何でも無いとしても自分にとっては、大切な記念日だ。

誰かに覚えていてもらえたら、嬉しいに決まってる!


「パールの誕生日、だね」

「やっと思い出したか!」

長い道のりだった気がした。

数分も経ってないだろうけど。


「よ〜し、今夜はケーキ、頑張って作るぞ〜!」

「マジか!?ありがとう!」

ダイヤは食べることも好きだけど、作ることも好きだ。

食べた味を再現するんだ、ってお店の味を再現させてしまった時には天才だと思った。

ある意味、一番嬉しいかもしれない。


「プレゼントもあるよ〜!だから、今夜はぜひオイラの家に来てね〜!」

「言われなくても行く!ありがとな、ダイヤ!」

「いやいや〜、オイラの方こそありがとうだよ〜!

 生まれてきてくれてありがとう、パール」

「っ」

ヤバい。

ダイヤは俺の誕生日を忘れてたわけだけど、そんなことを言ってくれるわけで。

当たり前かもだけど普段はそんなこと言われないから、ドキリとした。

涙腺に何かが触れそうだ。


「じゃあ、また後でね〜!」

「じゃあなあ!」

またゆっくり影から出ていくダイヤの姿を、見えなくなるまで見送った。





 忘れたフリした幼馴染み

 (パールの慌てる様子が見たいなんて、言ったらきっと怒るよね〜)















何でしょうかね、コレは。
とりあえずは……すみませんでしたああああ!(スライディング土下座)

パール分からない+大幅な遅れ=あれ?これ、スランプじゃね?
って感じになりました。

分かってます、「〜って」を使いすぎです。

今度からは意識的に減らしたい……。

ダイヤは実はパールをからかってたりとかしたら、(私が)楽しいなあ、と。
私得ですみません。
私以外に得をしたひとがいなさそうだ!

ごめんなさい……ごめんなさい……。
こんなのになってしまってすみません。

これからも仲良シンオウの名を世の中に知らしめて欲S……冗談です。

パール、お誕生日おめでとう!

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