pkmn

□苦手分野
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10月31日……。


シルバーもその日に何があるのか、知らないわけではなかった。


なの……だが。



「トリック オア トリートッ!
 お菓子くれなきゃ、いたずらしちゃうわよっ!?」


「…………?」









苦手分野










早朝に何故、姉さんが俺の家に来ているのだろう。


ああ、朝焼けが見える。



現実逃避のためフリーズしたシルバーの顔を見て、

ブルーは険悪そうに顔をゆがめる。


「ちょっとぉシルバー?ちゃんと聞いてる?


 折角ブルー姉さんが寝る間も惜しんでやって来たのに……」



そんなことをするくらいなら、寝る間は惜しむ必要性は無いと思う。



思ったけれど無言でその場をやりすごすシルバー。



「姉さん、その格好は一体?」


代わりに無難な質問を投げかける。


「え?……ああ、ホホホホホ、似合っているでしょう?」


自慢げにくるり、とゆっくり回ってみせるブルー。


黒色のワンピースを着ているのはいつものこと……

と流しそうになってしまうが、今はもう違う。


姉さんは俺が服をプレゼントしたとたん、

いつものワンピーススタイルをやめてしまった。



心機一転、という感じなのかもしれない。


両親とも姉さんは、再会できたことだし。



……けれど今日姉さんは、ワンピースを着ていた。


いつものごとく短すぎるんじゃないか?と思うような丈の、

肩の部分がヒモになっているワンピースだ。



お決まりのように頂点(?)がカックン、

と折れ曲がった同色の帽子付き。


靴は茶の長めのブーツ。



そして極め付けに……。







「ふふん、驚いて言葉も出ない、って感じかしら?」



満足げに鼻を鳴らす姉さん。


手に持つホウキをくるり、と回す。



「ホウキ?」




「え、持ってちゃ変……かな?」



ぱっ、と赤面し、ホウキを背中に隠そうとするブルー。



いや姉さん、そのホウキ、デカすぎて隠しきれてないから。
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