pkmn

□空に一番近い場所。
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「あ?クリス?そんな所で何してんだ?」


「へ?………あ、ゴ、ゴールド!先に来ていたの!?

 ま、まだかと思って、空を見てたのよ!」


待ち合わせがシロガネ山でよかった。

寒いし、よくないんだけど。


ワカバタウンが待ち合わせだったら、こんな言い訳できない。


「“そらをとぶ”で来たの?速かったわね」


「そんなに俺が速く来たのが意外かよ……」


ちぇ、と舌打ちをするゴールド。


やっぱりどこか、子供っぽいと思う。

子供なんだけど。


「何の用なの?あ、また先輩に迷惑かけたんじゃ……」



「俺だって四六時中先輩に迷惑かけてるわけじゃねーぞ!?」



じゃあ前回や前々回はどうなのよ。



「先輩のポケギアをボルテッカーで破壊したのは誰よ?」


「……あれは、バトルの最中に先輩が俺の視線をそらすために使った!

 俺は悪くないけどまあ、よくあるこった、気にすんな」



気にするわよ、普通は。


それに、そうだとしても視界に入ったものをポケモンに壊させないでしょ。


反論がいかにもゴールドらしくて、むしろ怒る気力もわかない。


「それ以外なら何だろう……先輩の誕生日、近かったっけ?」


「そうじゃねーって」


がしがし、と乱暴に頭をかくゴールド。


『人が緊張してんのに』、とか『折角夕暮れ時にシロガネ山に呼び出したのによぅ』とか

ブツブツ言ってるゴールド。




「気が引けるほど悪いことでもしでかしたんじゃあ、ないでしょうね……」



それでも一緒についていって謝ろう、とすでに考えている私って。



お人好しだな、とシルバーはあきれたように笑ったけれど。



本当はそれだけじゃなくて、………ああもうっ、

ゴールドはブルー先輩みたいな素敵な人が好きなんだから!


本人も言ってたし、うん!



私なんか『真面目』とか『委員長』とかって。


期待するだけ無駄だし損!



言われたとしても『本気にしたか?カ〜バ』って

いつもの調子で笑うのが目に見えてる。


乙女心を踏みにじりまくられたくはない。







「ゴールド?日が暮れちゃうわよ?」


「ったくもう、色々考えたのになんだよお前。

 そんなに俺のことが嫌いなら、お人好しでも頼みなんて、断ればいいだろ?」



は?何言ってんの?







不本意な言葉に驚く。
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