pkmn

□おつきみ
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「お前が来たから終わらなさそうだ」


「なんだよそれ!?」



疲れを見せないポーカーフェイスなのに、

面倒くさそうなのを隠そうともせずに間髪いれずに答えるグリーン。


ため息をつきながら言ってしまうところが、それっぽくてさらに傷つくレッド。


(俺ってそんなに五月蝿いかな……)


(てか、俺が来てからもうすでに2回目のため息……)


しょんぼりとレッドがしたころに、「冗談だ」と

遅すぎるタイミングでグリーン言ってくる。


鼻で笑いながら言うのも、変わらないなあ、と思う。


(皮肉屋で意地っ張りで見栄っ張り……)


(まあ俺も、人のこと言えないけど)



こほん、と自分の心の声に区切りをつけるように言うレッド。






カリカリと数秒間、グリーンが書類に何やら書き込む音だけが室内に響く。




妙にジムが広く思えるのは、きっと気のせいだ。



もうすでに、何が目的でトキワジムにまで来たのか忘れかけているレッドだった。



元からたいした理由なんてないのだが。







「体がもう大丈夫なら……ジムリーダーになろうとは、思わないのか?」




「へ?」




不意に話を振られて驚く。




そういえばグリーンにジムリーダーの資格を委託したままだったな、と思い返して頭をかく。


「もういいよ、面倒くさいし……イエローには悪いけど」





「……後半は聞かなかったことにしよう」





どうやらレッド自身よりも考えてくれていたようなグリーンの言葉に、レッドはどう答えていいのか考える。



(どうしたもんかな……ごまかしたら怒るだろうし)



考えていることを悟られないような短時間の後。





「俺がジムリーダーになったら、グリーンは無職になるだろ?

 俺はリーグ優勝してるから挑戦してくる奴とかいるけど」




結論、レッドに難しいことは無理だった。


むしろ無謀だった。




自分自身がそうたいして考えていないことを、相手に理解してもらえるように話す能力など、持っていない。多分。



「実力は衰えて……ないはず、だし。多分だけど。

 だからパスできるはず、だ。欠員が出たら………やってみようかな、なんて……」




書類関係の仕事が面倒くさい、とか言ったら怒られそうなので言わない。
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