pkmn

□挑戦的
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はああ、とジムの中から大きなため息が漏れ出した。


「どうしたんだ?ゴールドがため息なんて」


いつものようにポーカーフェイスながらも、気遣うようなことを言うグリーン。


不本意そうにくちびるを尖らせ、答えるゴールド。




「グリーン先輩とのバトル、飽きたんで」


「そういうことは一度でも勝ってから言え」



何だそんなことか、とあきれたように呟くグリーンを見て

さらに大きなため息をつくゴールド。


「レッド先輩、今ごろどこにいるんすかねー」


「やつのことだ、ホウエンにでも行っているかもしれないな」


チャンピオンの座に君臨しているはずのレッドだが、

何しろ四天王が強すぎてチャンピオンまでたどり着いたトレーナーは数少なく、

レッドはある日


『俺もう、いなくてもいいよな?』


意味深な言葉を残して一人満足げに納得したかと思うと。


どこかに行ってしまった。


チャンピオンがなぞの失踪をとげてしまった。


だけど事件として扱われないのがカントークオリティ。



「俺もホウエンに行こうかな……」


「まずはカントーを制覇したらどうだ」


グリーンからの的確すぎるつっこみに体を強張らせるゴールド。




「だったら……もう少し手ぇ抜いて下さいよ」


グリーンは今のところ、挑戦者に負けていない。


無敗の実力を誇っている、さすが先輩。



「手抜きに勝ったら、お前はそれで満足か?」




口角をわずかにあげている先輩に対し、意地悪く笑い返すゴールド。




「まさか」




はは、と乾いた笑い声がジムに寂しく響く。


「グリーン先輩には勝ちますよ?そんでレッド先輩にも勝つ」



「そう簡単に勝たせるか」



バチバチ、と視線が合い火花が散る。



「と、今日はここまでだ。悪いが次の挑戦者と戦わなければならない。帰ってくれ」


「へいへい。次は勝ちに来ますよ」




多忙なグリーンはポケモンを回復させながら話す。




「毎回同じことを言うところが悲しいな。それを言わない“次”はあるのか?」



「ありますよ。俺が来るまで負けないで下さいよ?」




「愚問だな」



速く帰れ、と言うように手で軽くあしらうグリーン。



ちぇ、俺だっていつか、誰もが憧れる存在になってやる。




そのためにまず、特訓だ!






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