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□頼れる先輩
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風が通り抜けたかと思うと、はらりはらりと葉が舞った。


少し色付く葉は、ふわり、と優雅に地に降り立つと風に流された。


「……さむっ」



空を見上げれば、すっこーん!と果てしなく続く淡い青。

もう長袖の服でほっこりする季節が、やって来た。






頼れる先輩





といっても、特にボクのすることに代わり映えなんてない。


起きて、朝ごはんを食べて、散歩して釣りをして、絵を描いて……。


自由気ままな生活を送っている。


今だって散歩しながら紅葉を眺めているだけ。


赤と黄に色を変えた葉を見て、レッドさんを思い出して、

名前でもある「黄」に自分を置き換えて……。



「わっ、そ、そうじゃなくて……!」



レッドさんの隣に、なんて、恥ずかしいよ。


何考えてんだ、ボク!!



一人で恥ずかしさに耐えて、大きく深呼吸する。



「ふぅ。」


よし、もう大丈夫なはず。


誰もいない空間が好きなのだけれど、たまに人恋しくなる。


レッドさんが来てくれたりしないかな……と

淡い幻想を抱いたりするけれど、

レッドさんは多忙な人だから、仕方がない。




よくあることだもん、我慢しないと。








たまに考えることがある。

ボクには通称「トキワの森の力」がある。



それはみんなのように「努力によって」「自分の力で」手に入れたものじゃない。


生まれ持った力だ。



みんな得意なことがあって、それぞれに目標があって、頑張ってる。



……ボクも、頑張らないと。



でも、何をどう頑張ればいいのか分からない。


これがいわゆる「現実逃避」なんだろうな。




ボクは一体、何をすべきなんだろう?


後輩さんたちには負けたくない。


一応ボクも、先輩なんだから!


頼りがいのある「先輩」になりたい。


「そうだ!先輩たちに聞いてみよう!」


レッドさんとグリーンさんは忙しそうだけど、ブルーさんは

『いつでも相談、受け付けてるわよ!』

って言ってくれたし、きっと大丈夫。


ブルーのしてほしがっている「相談」とは別種の「相談」になるのだが、気付かないイエロー。




「行こう」


呟いて、歩み出す。




(歩き出すのはいつでもいい)


(大切なのは“踏み出す勇気”)





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