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□大富豪
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「ふははははっ!行くぜシルバー、“革命”だっ!」


「……俺も“革命”だ」


「なっ!?……やるな、シルバー……!」


トランプゲーム「大富豪」をするゴールドとシルバー。


大袈裟に下唇を噛んで悔しがるゴールドに、シルバーは冷たく言い放つ。


「これ、2人でやるから“革命”ばっかり起こるんだろう?」


「…………」







大富豪







「あーもー、やめだやめだ!」

カードを床に撒き散らし、ごろんと寝転がるゴールド。


「クリスは『仕事があるから』とか言って来ねーしよー」


全くあのクソ真面目委員長は、と文句もつけ忘れることを忘れない。


「でもだからって、俺を誘うことはないだろう」


蔑むような目をしつつも、大分昔と比べればマシになった声色でシルバーは言った。


「はは、そんなこと言うなって。クリスもお前のこと気にしてるんだぜ?」


お前は打ち解けても打ち解けきれない感じがするし、とゴールドは言う。


寝転がったままで。


「クリスのことが好きなんだろ?俺なんか呼ばなくてもいいじゃないか」


「おっ、おま、お前!?どこでそれをっ!?」


がばっ、と起き上がり青ざめるゴールドにシルバーは平然と答える。


「姉さんが教えてくれた。なんだ、違うのか?」



「いやっ……違くは……ないんだが、くそうどこでそれを……!」


ブルーの名前を出してしまったことに、少し表情が変わるシルバー。

しまった、と思っているのだろう。


ゴールドはそんなことは露知らず、過去を回想している。

それは木の上からブルーが聞いていたから(『探りあい』より)知っているのだが、

そんなことを知ったらゴールドは死ぬだろう、比喩でもなんでもなく。




「……シルバーは好きな人とか、いるのか?」


「何故そうなる」


ブルーに知られたいきさつを思い出すのに飽きたのか諦めたのか、不意にゴールドが切り出す。

シルバーの言うことはすごく最もなのだが。


「いや、やっぱ気になるじゃんかよ」


過去の失敗から何も学びとらずに、純粋な好奇心からの疑問を投げ掛けるゴールド。



「何で俺がそんなことを言わなければならないんだ」


「いや、別に。言いたくないなら言わなくてもいいけど。

 でもなあ、俺の好きな人を知っておいて、自分は言わないとかなあ」


ニヤニヤするゴールドに、えげつない、とシルバーは思う。



「なあなあ、ぶっちゃけ誰が好きなんだよ?やっぱブルー先輩!?」


「ちょっと黙れ」



そもそも『好きな人がいる』という大前提の上に成り立つ疑問だ。



「俺に……好きな人は、いない」


「はぁ?何でだよ」


「俺には、信用できる人は……姉さん以外、いなかったからな」



重い話題にゴールドは反省する。


(俺が悪かった……)


(そうだよな、シルバーは色々と大変だったんだよな)



「好き、か……そうだな、お前の言う『好き』とは違うが、俺は姉さんが好きだ」


「そっか」


確かに普通の姉弟よりもよっぽど、深い絆があるし。


「それに……お前と、クリスのこと……も……」


「マジか!?」



驚きのあまりシルバーの顔を覗きこんでしまうゴールド。


「っ、見んなっ!」



「ふははっ、真っ赤になってやんの」



まるでいじめっこのようにシルバーを指して笑うゴールド。


すねたように反対方向を向いてしまうシルバー。



「そんなこと言うなんて、嬉しいなこんちくしょー。

 よしシルバー、もう一戦しようぜ!」


「……またか」









(君と仲良くなりたくて)


(本音を聞けて嬉しいよ)



→あとがき
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