pkmn
□風邪
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「えと……そろそろ私、帰るね」
気まずそうに切り出すクリス。
まあクリスは多忙だから、むしろ来たことに驚いている。
「ああ。ありがとな」
「お大事にー」
ぱたん、と礼儀よく閉められる扉。
「………」
「………くしゅっ」
「……………」
大変だ、話題がない。
というかこのメンツ自体がおかしいだろう。
姉さんとゴールドと俺……前代未聞じゃないか?
クリスがいたときもそうだったけれど。
「そうだ、シルバー眠れそう?」
「……今はちょっと」
こんな時に眠れるか。
「じゃあ、ババ抜きでもやらない?」
「いいッスね」
部屋をキョロキョロ見回してばかりいたゴールドが同意する。
「ゴールド、トランプ持ってる?」
「先輩、俺のことに何だと思ってるんすか……」
言いながらも、ゴールドのかばんからはトランプが出てくる。
持ち歩いているのか?
「ババ抜きだから……ジョーカー1枚抜きますね」
誰に言うわけでもなく言ってカードをきるゴールド。
持ち歩いているだけあってか、手慣れている。